リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病疾患に関して日々疑問になったことを中心にまとめたものです。

呼吸器科

MTXはむしろRAの間質性肺炎予防に有効

関節リウマチ(RA)を含めて、リウマチ膠原病疾患はしばしば間質性肺疾患(ILD)を合併します。 一方で今までそれらに使用されるメトトレキサート(MTX)も間質性肺疾患を起こす可能性があると懸念されてきました。 ゆえに、間質性肺炎が少しでもある関節リウマチ…

ステロイドの副作用の新しい評価スケール~複合グルココルチコイド毒性指標~

先日『SLEの慢性期のステロイドは中止できるか? 』というテーマの論文をご紹介しましたが、その中で、ステロイドの副作用の評価スケールを使用しておりました。 恥ずかしながらステロイドの副作用って、例えば骨粗鬆症は『ある』か『なし』で評価しておりま…

間質性肺疾患を起こしやすいリウマチ膠原病とは?

関節リウマチや皮膚筋炎、強皮症などの全身性自己免疫性リウマチ性疾患(SARD)は、しばしば間質性肺疾患(ILD)を起こします。それぞれの疾患でどれくらいILDを起こしやすいかは、各国から様々なコホート研究が発表されていますが、どの疾患がどのくらいILDを起…

【Review】免疫不全患者の重症呼吸器感染症

近年、免疫不全状態にある重症患者の割合はICU入院全体の約3分の1を占めるまで増加しているようです。 殊に昨今では新型コロナウイルス感染症の流行があり、重度呼吸器感染症においてはより鑑別が重要になってきていると思います。 今回は免疫不全患者におけ…

リンパ節石灰化の鑑別

時々、CTで見かけるリンパ節の石灰化…鑑別と言えば、結核!!と思っていましたが、他に何があるかなと思い、まとめてみました。 ちなみに脾臓の石灰化に関しては以下をご覧ください。 ※赤文字は頻度が高いものです。 大きく分類すると、 ●肉芽腫疾患(結核、サ…

ばち指~鑑別と機序~

関節痛の患者で、ばち指を認めたら何を疑うか?? ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 答えは肥大性骨関節症ですが、ばち指の鑑別や機序について改めてまとめてみました。 ばち指の所見 ばち指の鑑別 ばち指の機序 1. 異常血管新生 2. 低酸素血症 3. 慢性炎症 診…

再発性多発軟骨炎⑥~治療~

いよいよ再発性多発軟骨炎の最終記事、治療についてです。 症状に関してはこちら。 病因に関してはこちら。 病理に関してはこちら。 診断基準に関してはこちら。 診察と検査と鑑別に関してはこちら。 希少疾患であるため、治療に関しては症例報告やケースシ…

皮膚筋炎・多発性筋炎と悪性腫瘍

皮膚筋炎(DM)・多発性筋炎(PM)は膠原病疾患の中でも最も悪性腫瘍を合併しやすい事が知られております。 最近、前立腺癌のホルモン治療中に、抗TIF1γ抗体陽性の皮膚筋炎を合併した患者さんがおられました。 当初、前立腺癌合併と考えられていたのですが、CTで…

再発性多発軟骨炎⑤~診察と検査と鑑別と~

複数の軟骨病変を呈する再発性多発軟骨炎ですが、診察を丁寧に行わなければなりません。今回は診察、必要な追加検査、各軟骨病変の鑑別についてまとめたいと思います。 症状についてはこちら。 病因についてはこちら。 病理についてはこちら。 診断基準につ…

再発性多発軟骨炎③~病理~

今回は病理についてまとめたいと思います。 こちらもご覧ください。 ※再発性多発軟骨炎の病理像は生検が行われる時期に依存します 初期 ●軟骨周囲、特に初期は軟骨真皮接合部にリンパ球、様々な割合の多型核細胞、単球/マクロファージ、形質細胞の浸潤が見ら…

再発性多発軟骨炎②~病因~

UpToDateをもう少しわかりやすく意訳したものです。 こちらもご覧ください。 【ポイント】 ・再発性多発軟骨炎の明確な病因は不明だが、外的刺激や遺伝的感受性(HLA-DR4)などが関与していると考えられる ・HLA-DR陽性抗原提示細胞とCD4陽性Tリンパ球が顕著に…

再発性多発軟骨炎①~症状~

先日外来で耳介軟骨が腫れて痛がる患者がいました。まだ確定診断はついておりませんが、再発性多発軟骨炎を想起しました。 再発性多発軟骨炎は耳介軟骨、鼻軟骨、気管軟骨などの軟骨に炎症が生じる再発性の疾患です。 それ以外にも関節や眼、心血管、中枢神…

EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)④~治療と予後~

最後になりましたが、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の治療と予後についてまとめます。 分類基準についてはごちら。 病因・組織病理についてはこちら。 症状と鑑別についてはこちら。 【ポイント】 ・EGPAの治療のゴールドスタンダードはグルココルチコ…

EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)③~疫学と症状と鑑別~

今回は好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の疫学と症状、鑑別についてまとめます。 分類基準についてはごちら。 病因・組織病理についてはこちら。 治療と予後についてはこちら。 【ポイント】 ・発症年齢の中央値は49-59歳 ・ほぼすべての患者で気管支喘息…

EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)②~病因と組織病理~

さて、続いて好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の病因についてです。 このあたり、やはりANCAが陽性となりやすい顕微鏡的多発血管炎(MPA)や多発血管炎性肉芽腫症(GPA)と異なり、研究が遅れているようです。 現時点でわかっていることについてまとめます。 …

EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)①~分類基準2019~

前回の好酸球性心筋炎に引き続き、その原因疾患となる好酸球性多発血管炎性肉芽腫症についてまとめたいと思います。英語で表記するとEosinophilic granulomatosis with polyangiitis、略してEGPAです。 ANCA関連血管炎の一つですが、GPAやMPAと比較して症例…

肺胞出血UpToDate

肺胞出血の患者がいるため、復習しています。UpToDateが最新で最もまとまっていたため、訳してみました。 リウマチ膠原病領域では低酸素血症、貧血、新規陰影の場合に常に鑑別に挙がる病態です。 肺胞出血は肺胞上皮細胞、基底膜、肺毛細血管の破綻によって…

必ず鑑別に挙がる薬剤性肺障害について

薬剤性肺障害についてまとめてみました。 出典は見つけた薬剤性肺障害の診断・治療の手引きでインターネットで短縮版が無料公開されておりますので、是非入手することをお勧め致します。 【定義】 ・薬剤投与中に起きた呼吸器系の障害の中で、薬剤と関連があ…