リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病疾患に関して日々疑問になったことを中心にまとめたものです。

感染症

コロナワクチンと免疫抑制患者~免疫原性~

免疫抑制薬を使用している患者では、新型コロナウイルスワクチンの免疫原性が低下する事が危惧されています。 最近少しずつこれに関して研究結果が出てきたので、その代表的な論文をいくつかまとめたいと思います。

いつやめる?ニューモシスチス肺炎の予防

ニューモシスチス肺炎の予防はリウマチ膠原病疾患ではしばしば重要な検討事項です。 しかし、一度予防投薬を開始すると『いつ止めるか』という事が頭を悩ます問題になります。 予防の中止に関してはHIV患者ではCD4陽性リンパ球数などを参考に行っている報告…

リウマチ膠原病疾患毎のニューモシスチス肺炎発症リスク

ニューモシスチス・ジロベチイ肺炎(PJP)はリウマチ膠原病疾患の治療を行う上で、常に考慮しなければならない真菌性肺炎です。 HIV患者での発症が有名ですが、リウマチ膠原病疾患を含めたnon-HIV患者の方が、一般に急速に進行し、予後不良と言われています(PM…

リウマチ膠原病疾患患者におけるCOVID-19関連死亡リスク

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が大流行して1年が過ぎました。 リウマチ膠原病疾患では、根底に自己免疫の異常があるため、当初感染によって起こる炎症が強く出るのではないか、はたまた免疫抑制薬やステロイドを使用しているため、感染症が重症化するので…

ステロイドの副作用の新しい評価スケール~複合グルココルチコイド毒性指標~

先日『SLEの慢性期のステロイドは中止できるか? 』というテーマの論文をご紹介しましたが、その中で、ステロイドの副作用の評価スケールを使用しておりました。 恥ずかしながらステロイドの副作用って、例えば骨粗鬆症は『ある』か『なし』で評価しておりま…

【Review】免疫不全患者の重症呼吸器感染症

近年、免疫不全状態にある重症患者の割合はICU入院全体の約3分の1を占めるまで増加しているようです。 殊に昨今では新型コロナウイルス感染症の流行があり、重度呼吸器感染症においてはより鑑別が重要になってきていると思います。 今回は免疫不全患者におけ…

リウマチ膠原病疾患患者のCOVID-19罹患

2020年4月1日の時点で、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ、アジア、アフリカ、オセアニアの6つの大陸から、COVID-19と診断されたリウマチ膠原病疾患患者は110人になります。その背景をまとめた報告があったので以下にまとめました。 DMARD=疾患修飾抗リウ…

リウマチ膠原病疾患患者におけるコロナウイルス対策~ACR COVID clinical guidance~

ACR(米国リウマチ学会)よりコロナウイルス感染におけるリウマチ膠原病疾患患者への推奨が発表されました。 なお、推奨文中の『中』や『高』は、声明文の発表に寄与したリウマチ専門医10名、感染症専門医4名のコンセンサス(合意)レベルを示しております。 『→…

嗅覚障害を起こすウイルス

世間ではコロナウイルスが嗅覚障害を起こす事が話題となっておりますが、 ウイルス感染症はもともと嗅覚障害を起こす最も頻繁な原因。 報告にもよりますが、ウイルス感染症の2~4割前後に嗅覚障害が起こります。 嗅覚障害を起こす可能性があるウイルスは200種…

結核性椎体椎間板炎の診断に組織所見は有用か?

結核性の椎体椎間板炎の診断はいつも難しく感じます。 生検検体の培養やPCRなどの微生物学的検査が診断のゴールドスタンダードであると思いますが、結果が判明するまでに時間がかかる上に、陽性率が低いことが問題です。 今回ご紹介するのは、結核性椎体椎間…

SLEの鑑別~パルボウイルス感染症~

SLEの最大の鑑別にパルボウイルス感染症があります。 『SLEを疑ったら、パルボウイルス感染症を考える!!』という格言があるくらいパルボウイルス感染症の症状はSLEに類似します。発熱、関節炎、皮疹などの症状はもちろん、血清学的に、低補体や抗核抗体が…

関節痛・関節炎を起こすウイルス

発症から6週間以内の関節炎の鑑別にウイルス感染症は常につきものです。 この記事では関節炎に加えて、関節痛を起こすウイルスについてまとめました。 関節痛を起こすウイルス アルファウイルス 関節炎を起こすウイルス メカニズム 診断ポイント 注意点 治療…

サイトメガロウイルス感染症の危険因子と発症予測因子

移植ほどではありませんが、自己免疫性リウマチ性疾患を治療していて、免疫抑制が強すぎると、必ずやサイトメガロウイルス(CMV)の再活性化の心配が出てきます。 CMVウイルスの再活性化はしばしば血液中の抗原が陽性となる事で判断しますが、陽性となったから…

HCV感染により陽性となる自己抗体たち

C型肝炎患者では、関節リウマチ、血管炎(特にクリオグロブリン血症性血管炎)、Sicca症候群など、多彩な自己免疫性リウマチ性疾患を併存する事は良く知られております。 しかし、自己免疫疾患の症状がなくても、多彩な自己抗体が検出される事も報告されており…

蕁麻疹を起こすウイルス達

蕁麻疹と言えば、何らかの抗原に対するアレルギーを考えますが、原因不明も多いのが現状です。しかし、医療者は食べ物との関連を疑うことが多く、結果的に患者さんに〇〇アレルギーなどと、レッテルを貼り、過剰な不安を与えてしまうかもしれません。 しかし…

肺胞出血UpToDate

肺胞出血の患者がいるため、復習しています。UpToDateが最新で最もまとまっていたため、訳してみました。 リウマチ膠原病領域では低酸素血症、貧血、新規陰影の場合に常に鑑別に挙がる病態です。 肺胞出血は肺胞上皮細胞、基底膜、肺毛細血管の破綻によって…

免疫不全の重症度

免疫不全の状態は疾患によってかなり異なります。一般的なリウマチ・膠原病疾患よりもはるかにCD4が低下したHIV/AIDS患者、移植後患者、化学療法中の悪性腫瘍の患者は免疫不全が重篤であり、これらの患者が発熱などで来院した際には、珍しい感染症や、コモン…

抗リウマチ薬、免疫抑制薬の感染症リスク

関節リウマチの治療をしていると必ず遭遇するのが感染症です。免疫学の急速な発展に伴い、様々な機序の免疫抑制薬がと登場しております。 この記事では各免疫抑制薬の感染症のリスクを検討しております。注意点としては関節リウマチ診療で単剤治療がほとんど…

ステロイドの内服量、期間と感染リスク

Dixon WG. Ann Rheum Dis. 2012 Jul;71(7):1128-33. "Immediate and delayed impact of oral glucocorticoid therapy on risk of serious infection in older patients with rheumatoid arthritis: a nested case-control analysis." ステロイドは免疫抑制薬…

疥癬UpToDate

UpToDate"Scabies: Epidemiology, clinical features, and diagnosis" Last updated: Mar 22, 2018. UpToDate"Scabies: Management" Last updated: Jul 27, 2018. 全然リウマチ膠原病ではないですが、高齢患者の病棟管理において必ず問題となるあれ…『疥癬』…

免疫抑制患者へのワクチン接種

Immunology: Prevention of infections in patients with autoimmune diseases. Meyer-Olson D et al. Nat Rev Rheumatol. 2011 Apr; 7(4): 198-200. 多くの自己免疫性炎症性リウマチ性疾患(AIRDs)において、最も多く見られる死因は感染症であるため、適切な…