リウマチ膠原病疾患患者におけるコロナウイルス対策~ACR COVID clinical guidance~
ACR(米国リウマチ学会)よりコロナウイルス感染におけるリウマチ膠原病疾患患者への推奨が発表されました。
なお、推奨文中の『中』や『高』は、声明文の発表に寄与したリウマチ専門医10名、感染症専門医4名のコンセンサス(合意)レベルを示しております。
『→』は筆者コメントです。
【改訂記録】
第2版:2020年4月14日 10時45分 (言い回し変更、誤字修正、筆者コメント追加)
- リウマチ性疾患患者に対する一般的な声明
- SARS-CoV-2曝露または感染がない安定した患者の継続治療
- SLE患者の場合
- 新規に診断されたリウマチ性疾患または活動性リウマチ性疾患の治療で、SARS-CoV-2曝露または感染がない場合
- SARS-CoV-2曝露後の安定した患者の継続治療(COVID-19に関連する症状がない)
- COVID-19感染が確定、または疑われる場合のリウマチ性疾患の治療
リウマチ性疾患患者に対する一般的な声明
→コロナウイルス感染ACE阻害薬/ARBの使用の妨げとなる十分な根拠は現時点でありません。
→グルココルチコイドの減量は原疾患が落ち着いており、減量出来ると医師が判断した場合に限り、しても良いと考えるべきです。
SARS-CoV-2曝露または感染がない安定した患者の継続治療
→日本ではスルファサラジンよりもサラゾスルファピリジンの方が使用されています。
→日本ではクロロキンは使用されておりません。
SLE患者の場合
※HCQ/CO: ヒドロキシクロロキン/クロロキン
→ヒドロキシクロロキンがコロナウイルス感染に有効である事を推奨したものではない事に注意してください。
→欧米のSLEガイドラインではもともと全例でヒドロキシクロロキンを使用すべきという姿勢を取っており、コロナウイルス感染がそれを妨げも、促進もしないという姿勢です。日本ではまだそこまで強い推奨という姿勢ではありません。
新規に診断されたリウマチ性疾患または活動性リウマチ性疾患の治療で、SARS-CoV-2曝露または感染がない場合
※csDMARDs: メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン(サラゾスルファピリジン)、ヒドロキシクロロキン
SARS-CoV-2曝露後の安定した患者の継続治療(COVID-19に関連する症状がない)
※HCQ: ヒドロキシクロロキン、SSZ: スルファサラジン、MTX: メトトレキサート、LEF: レフルノミド
COVID-19感染が確定、または疑われる場合のリウマチ性疾患の治療
※SSZ: スルファサラジン、MTX: メトトレキサート、LEF: レフルノミド
→日本ではスルファサラジンよりもサラゾスルファピリジンを使用する。
【参考文献】
ACR, "COVID-19 Clinical Guidance for Patients with Rheumatic Diseases" Updated April 11, 2020.