リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病疾患に関して日々疑問になったことを中心にまとめたものです。

検査所見

健常者で見られやすい抗核抗体~抗DFS70抗体~

血液検査で偶然『抗核抗体が陽性』になる事はしばしばありますよね。 専門外来でもこのようなご紹介を受ける事がしばしばあります。 『抗核抗体』は『自己免疫疾の太鼓判』というイメージがあるかと思いますが、 無症状の場合、抗核抗体陽性のみでは、自己免…

簡単!!抗核抗体の染色パターンの考え方

『抗核抗体の蛍光抗体法のパターンと対応抗体が覚えられない!!』と言う声をしばしばお聞きします。確かにそうです。 気合を入れれば、覚えられなくはないかと思いますが、正直大変ですよね。 何か良い覚え方がないか考えましたが、そんな小手先の事はせず…

ANCAを測定すべき状況と検査の感度・特異度~2017年国際的コンセンサスステートより~

NCAの測定方法にはいくつかの方法があり、どの方法を選択すれば良いのか皆さん悩まれるかと思います。また、どのような状況でANCAを測定すべきか悩まれることもあるかもしれません。 ANCA関連血管炎以外でANCAが陽性になる疾患は意外と多いので、むやみに提…

ANCA関連血管炎以外でANCAが陽性になる疾患

ANCA関連血管炎以外でANCAが陽性になる疾患は以外とたくさんあります。 2006年のLancetにもそれまでのANCAが陽性になる疾患のまとめがありました(Lancet . 2006 Jul 29; 368 (9533): 404-18. PMID=16876669)が、情報が古いという事と、頻度が書かれていない…

今すぐ使える血ガスの読み方2020

研修医向けに血液ガスの読み方のレクチャーをしました。 もはや専門でなく、血液ガスもそんなに頻繁に採取している訳ではないのですが、 非専門の立場から『ここだけ押さえておくべき』という所だけをまとめたものです。 専門家からの指摘・修正をお待ちして…

リウマチ因子(RF)~役割と他の疾患での陽性率~

健康診断の血液検査の項目に『リウマチ因子(RF)』がある影響で、しばしば『RF陽性』という紹介が来ます。 確かに関節リウマチの診断の役に立ち、予後に関連すると言われておりますが、関節リウマチ以外にも多数の疾患で陽性となり、さらに健常者でも一定の割…

関節リウマチ以外の疾患での抗CCP抗体陽性率

前回、抗CCP抗体は脊椎関節炎で高率に陽性になると話しました。 しかし、それ以外の疾患でも陽性になる事が知られています。 今回は関節リウマチ以外の疾患での抗CCP抗体陽性率についてまとめたいと思います。 お時間がない方は最後のまとめからお読み下さい…

脊椎関節炎でも抗CCP抗体は高い陽性率を示す

先日、他院で『関節リウマチ』として治療されている患者さんが、小生の一般内科外勤に降圧薬の処方と、ついでに関節痛の増悪を訴えて来院されました。 もともと『抗CCP抗体強陽性』のため、関節リウマチと診断されたとの事ですが、診察すると足関節炎、肘関…

RFや抗CCP抗体の陰性化は関節リウマチの寛解指標になるか?

関節リウマチの診断にRFや抗CCP抗体が有用であることは周知の事実だと思いますが、一昔前まで、RFや抗CCP抗体などの抗体が陰性化する事で、寛解に達する事が出来ると考えられておりました。 そのため、治療経過の中で、値をずっと測定している先生や、値が気…

全身性アミロイドーシスに対する腹壁脂肪吸引生検の方法

アミロイドーシスに対する腹壁脂肪吸引生検の感度は消化管生検よりも高いといわれます。加えて安全かつ簡便であるため、一般内科医でも実施する事が可能です。 インターネットをサーフィンしていると、『アミロイドーシス診療支援サービス』というサイトにた…

DICとTMAの鑑別

播種性血管内凝固(DIC)と血栓性微小血管障害(TMA)はしばしば鑑別が困難な場合があります。両者とも血小板減少、出血傾向、臓器不全に関連した微小血管血栓症を呈します。これらは治療法が異なるため、臨床的に鑑別する事が重要です。 日本からの報告でこの両…

結核性椎体椎間板炎の診断に組織所見は有用か?

結核性の椎体椎間板炎の診断はいつも難しく感じます。 生検検体の培養やPCRなどの微生物学的検査が診断のゴールドスタンダードであると思いますが、結果が判明するまでに時間がかかる上に、陽性率が低いことが問題です。 今回ご紹介するのは、結核性椎体椎間…

リンパ節石灰化の鑑別

時々、CTで見かけるリンパ節の石灰化…鑑別と言えば、結核!!と思っていましたが、他に何があるかなと思い、まとめてみました。 ちなみに脾臓の石灰化に関しては以下をご覧ください。 ※赤文字は頻度が高いものです。 大きく分類すると、 ●肉芽腫疾患(結核、サ…

関節エコーのDouble Contour Signは痛風に特異的か?

関節エコーで関節リウマチと結晶性関節炎の鑑別が出来る事に加えて、痛風、偽痛風の鑑別が出来る事は有名でした。 図1のように、正常では骨の上に低エコー域の硝子軟骨が見えますが、 痛風では、硝子軟骨の外表面に痛風結晶が沈着するため、硝子軟骨の表面が…

HCV感染により陽性となる自己抗体たち

C型肝炎患者では、関節リウマチ、血管炎(特にクリオグロブリン血症性血管炎)、Sicca症候群など、多彩な自己免疫性リウマチ性疾患を併存する事は良く知られております。 しかし、自己免疫疾患の症状がなくても、多彩な自己抗体が検出される事も報告されており…

健常者の抗核抗体陽性率

無症状ですが、『抗核抗体陽性』のご紹介をしばしば受けることがあります。 健常者でも抗核抗体が陽性となる事は有名ですが、特に間接蛍光抗体法ではしばしば偽陽性を経験します。 今回は昔から言われている健常者の抗核抗体の陽性率と日本のデータについて…

【簡易版】抗核抗体の国際分類基準2019

前回、抗核抗体の国際分類基準について細かくまとめましたが、正直、リウマチ専門医でも、普段見慣れていないと分かりづらいかもしれません。 臨床で忙しい先生方、非リウマチ科医の先生方でも、簡単に理解できるよう表を作成してみました。従来の分類からの…

抗核抗体の国際分類基準2019

抗核抗体をスクリーニング検査する時、『○○倍』だけでなく、『Homogeneous』や『Speckled』などと抗核抗体の染色パターンが一緒に帰って来ます。これは間接蛍光抗体法と呼ばれる手法を用いたものです(後述)。 自己免疫リウマチ性疾患では自己の細胞の様々な…

関節エコー~滑膜炎の新しい評価方法~

リウマチ疾患に関節エコーが重要である事は言うまでもありません。 滑膜肥厚、滑液貯留、血流信号など様々な所見を観察することで、診断、鑑別、活動性評価などが簡便に出来る事が大きな利点です。 今回は欧州リウマチ学会(EULAR)とOutcome Measures in Rheu…

炎症性貧血Review NEJM2019

つい最近のNEJMで炎症性貧血についてReviewが出されておりました。真新しい事はないかと思いますが、分子機序が割と細かく、復習に良いかもしれません。まとめてみたので、二次利用などにご活用ください。 【ポイント】 ヘプシジン合成亢進 ・炎症が起こると…

手足が痺れる多発神経障害・ポリニューロパチーの鑑別 

病棟でも外来でも手足が痺れる患者さんは少なくありません。 今回は多発神経障害(ポリニューロパチー)の考え方をまとめてみました。 【ポイント】 ・多発神経障害(ポリニューロパチー)は意外と多い ・手袋靴下型の神経障害では多発神経障害を疑う ・症状は神…

LDHが異常に高い時に考えること 

LDHが時々高いことを見かけますが、以下の論文ではLDHが異常高値である入院患者に着目し、その原因疾患をまとめたものです。 LDHが高値となるのは以下のスライドに示す通り、様々な疾患がありますが、 カットオフ値を800IU/Lと設定した際に、鑑別に挙がる疾…

骨代謝マーカーを使ってみよう!!

今まで骨粗鬆症の評価は骨密度検査のみ実施しており、骨代謝マーカーは測定したことがありませんでした。この度、骨代謝マーカーをオーダーする機会があり、骨免疫を理解するためにも勉強してみました。

脾臓の石灰化の鑑別

時々CTで見かける『あれ』です。鑑別をまとめました。 ほとんどが静脈結石ですが、肉芽腫性疾患は忘れてはいけません。 Radiopediaから引用しております。 【参考文献】(1) Tieng AT, Sadow CA, Hochsztein JG et-al. Diffuse calcifications of the spleen:…