リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病疾患に関して日々疑問になったことを中心にまとめたものです。

2019-01-01から1年間の記事一覧

健常者の抗核抗体陽性率

無症状ですが、『抗核抗体陽性』のご紹介をしばしば受けることがあります。 健常者でも抗核抗体が陽性となる事は有名ですが、特に間接蛍光抗体法ではしばしば偽陽性を経験します。 今回は昔から言われている健常者の抗核抗体の陽性率と日本のデータについて…

【簡易版】抗核抗体の国際分類基準2019

前回、抗核抗体の国際分類基準について細かくまとめましたが、正直、リウマチ専門医でも、普段見慣れていないと分かりづらいかもしれません。 臨床で忙しい先生方、非リウマチ科医の先生方でも、簡単に理解できるよう表を作成してみました。従来の分類からの…

抗核抗体の国際分類基準2019

抗核抗体をスクリーニング検査する時、『○○倍』だけでなく、『Homogeneous』や『Speckled』などと抗核抗体の染色パターンが一緒に帰って来ます。これは間接蛍光抗体法と呼ばれる手法を用いたものです(後述)。 自己免疫リウマチ性疾患では自己の細胞の様々な…

ばち指~鑑別と機序~

関節痛の患者で、ばち指を認めたら何を疑うか?? ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 答えは肥大性骨関節症ですが、ばち指の鑑別や機序について改めてまとめてみました。 ばち指の所見 ばち指の鑑別 ばち指の機序 1. 異常血管新生 2. 低酸素血症 3. 慢性炎症 診…

再発性多発軟骨炎⑥~治療~

いよいよ再発性多発軟骨炎の最終記事、治療についてです。 症状に関してはこちら。 病因に関してはこちら。 病理に関してはこちら。 診断基準に関してはこちら。 診察と検査と鑑別に関してはこちら。 希少疾患であるため、治療に関しては症例報告やケースシ…

IgG4関連疾患~新分類基準2019~

以前にACR/EULARのIgG4関連疾患の新分類基準の2018年ドラフト版についてご紹介させて頂きましたが、この度2019年に最終版が報告されましたので、ご紹介致します。 ドラフト版についてはこちらをどうぞ。 やはり、ドラフト版の通り、3つのステップに従って診…

関節エコー~滑膜炎の新しい評価方法~

リウマチ疾患に関節エコーが重要である事は言うまでもありません。 滑膜肥厚、滑液貯留、血流信号など様々な所見を観察することで、診断、鑑別、活動性評価などが簡便に出来る事が大きな利点です。 今回は欧州リウマチ学会(EULAR)とOutcome Measures in Rheu…

皮膚筋炎・多発性筋炎と悪性腫瘍

皮膚筋炎(DM)・多発性筋炎(PM)は膠原病疾患の中でも最も悪性腫瘍を合併しやすい事が知られております。 最近、前立腺癌のホルモン治療中に、抗TIF1γ抗体陽性の皮膚筋炎を合併した患者さんがおられました。 当初、前立腺癌合併と考えられていたのですが、CTで…

自己免疫性炎症性リウマチ性疾患患者のワクチン接種~EULAR recommendations 2019~

自己免疫性炎症性リウマチ性疾患患者(AIIRD)に対するワクチン接種の推奨が、 8年ぶりにEULARから改訂されました!!! 今回は、この待望の改訂について2011年の推奨との違いについて対比しながら、まとめたいと思います。 なお、2011年の推奨についてはこち…

全身痛の考え方

全身痛について私の考え方を発表させて頂く機会がございました。 発表時間10分のみでしたので、BPSモデルのBioの部分だけです。 鑑別や初期検査検査など、参考になれば幸いです。 Thinking about general pain from Tsuneyasu Yoshida

脊椎関節炎をリウマチ専門医するタイミング

先日のブログで、体軸性脊椎関節炎の代表である強直性脊椎炎の発症から診断までに遅れが平均9年であるとお伝えしました。 強直性脊椎炎の診断遅れについてはこちらをご覧ください。 疑わしい場合はリウマチ専門医に相談して頂きたいのですが、実際どのような…

強直性脊椎炎の診断への旅

最近、ご紹介頂く原因不明の関節炎の患者さんの中に、何人か強直性脊椎炎の患者がおりました。 関節リウマチは診断出来る先生が増えて来ているように思いますが、強直性脊椎炎に関しては未だに①線維筋痛症、②血清反応陰性関節リウマチ、③慢性腰痛などと誤診…

膠原病疾患と線維筋痛症

リウマチ膠原病を扱う上で、『膠原病疾患は線維筋痛症の合併が多い』事は知っておく必要があります。 特に線維筋痛症を合併している場合、原疾患の活動性、障害の程度、QOLの低下が大きいと言われています。 ただし、全身性エリテマトーデスだけは疾患活動性…

線維筋痛症~診断基準と分類基準2019~

線維筋痛症と言えば『圧痛点18か所!!』と一対一対応していませんか? 実はこの項目は1990年に作られた米国リウマチ学会の分類基準の項目の一つなのです。 線維筋痛症の分類基準はその後、様々な検証がされ、改訂されてきました。2019年現在、かなり簡略化…

線維筋痛症~鑑別疾患と併存疾患~

線維筋痛症の鑑別と併存疾患・状態について(2)(3)の論文よりまとめました。 因みに日本の『線維筋痛症診療ガイドライン2017』では、各科毎に線維筋痛症を併存しやすい疾患をまとめております。 それにしても多いですね…鑑別では、まずは一番上の表の鑑別を考…

仙腸関節炎~診察と鑑別~

若年者の慢性腰痛で鑑別に挙げたい仙腸関節炎の診察と鑑別を以下にまとめます。 《診察》 なお、患者に一番痛い所を指さしてもらったときに以下のように示す場合も仙腸関節炎を疑うそうです(Fortin finger test→名前は覚えなくて良いかも)。 《鑑別》 ※厳密…

クリオグロブリン血症・血管炎 UpToDate 2019

クリオグロブリン血症・血管炎について最新の論文を中心にまとめました。クリオグロブリンが産生される機序や、寒冷で析出する機序など、基礎的な部分も少し詳しくしております。 若かりし頃の私が作成した、こちらもご覧ください。

再発性多発軟骨炎⑤~診察と検査と鑑別と~

複数の軟骨病変を呈する再発性多発軟骨炎ですが、診察を丁寧に行わなければなりません。今回は診察、必要な追加検査、各軟骨病変の鑑別についてまとめたいと思います。 症状についてはこちら。 病因についてはこちら。 病理についてはこちら。 診断基準につ…

ブドウ膜炎の鑑別

ブドウ膜炎の鑑別について非常にわかりやすい文献を見つけました。 ↑ こちらにもまとめたのですが、手っ取り早く鑑別するなら↓の図がお勧めです。 ブドウ膜炎は ①『両側性 or 片側性 vs 前部ブドウ膜炎 or 汎ブドウ膜炎(眼底病変あり)』 ②『肉芽腫性 or 非肉…

炎症性貧血Review NEJM2019

つい最近のNEJMで炎症性貧血についてReviewが出されておりました。真新しい事はないかと思いますが、分子機序が割と細かく、復習に良いかもしれません。まとめてみたので、二次利用などにご活用ください。 【ポイント】 ヘプシジン合成亢進 ・炎症が起こると…

関節リウマチ治療でモニタリングする事柄

関節リウマチの治療が多様化しておりますが、治療開始前やモニタリングが使用する薬剤によって多少変わってきます。以下に簡単にまとめました。

再発性多発軟骨炎④~診断基準~

再発性多発軟骨炎の診断基準には、McAdamら、Damianiら、Michetらによる診断基準が大きく3つあります。 本稿では、それぞれの内容と比較をしていこうと思います。 こちらもご覧ください。 ****************************************************************…

ちゃんとフィードバックしていますか?

コーチングに続き、効果的なフィードバックスキルについてもお話しておきます。 コーチングについてはこちら。 よく耳にする、フィードバックとして一例を挙げます。 『お疲れ様。あれ出来ていなかったよね。こうすればいいと思うよ』 これは…フィードバック…

どの職種でも使える『コーチングスキル』について

多くの方はあらゆる教育現場で”教える”という行為を行っていると思いますが、 ”コーチング”というスキルはご存じでしょうか。 ”コーチング”という言葉はもともと、COACH=馬車という言葉から来ております。COACHというブランドのロゴに馬車が描かれています…

再発性多発軟骨炎③~病理~

今回は病理についてまとめたいと思います。 こちらもご覧ください。 ※再発性多発軟骨炎の病理像は生検が行われる時期に依存します 初期 ●軟骨周囲、特に初期は軟骨真皮接合部にリンパ球、様々な割合の多型核細胞、単球/マクロファージ、形質細胞の浸潤が見ら…

再発性多発軟骨炎②~病因~

UpToDateをもう少しわかりやすく意訳したものです。 こちらもご覧ください。 【ポイント】 ・再発性多発軟骨炎の明確な病因は不明だが、外的刺激や遺伝的感受性(HLA-DR4)などが関与していると考えられる ・HLA-DR陽性抗原提示細胞とCD4陽性Tリンパ球が顕著に…

再発性多発軟骨炎①~症状~

先日外来で耳介軟骨が腫れて痛がる患者がいました。まだ確定診断はついておりませんが、再発性多発軟骨炎を想起しました。 再発性多発軟骨炎は耳介軟骨、鼻軟骨、気管軟骨などの軟骨に炎症が生じる再発性の疾患です。 それ以外にも関節や眼、心血管、中枢神…

手が震える時に疑う薬剤~薬剤性振戦の鑑別~

薬剤を処方した後に、『手が震える』と仰る患者さんがたまにおられます。 今回はそんな振戦を起こす可能性がある薬剤についてまとめたいと思います。 リウマチ膠原病領域では特にステロイド、タクロリムス、シクロスポリンなどの薬剤による振戦が有名です。 …

EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)④~治療と予後~

最後になりましたが、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の治療と予後についてまとめます。 分類基準についてはごちら。 病因・組織病理についてはこちら。 症状と鑑別についてはこちら。 【ポイント】 ・EGPAの治療のゴールドスタンダードはグルココルチコ…

EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)③~疫学と症状と鑑別~

今回は好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の疫学と症状、鑑別についてまとめます。 分類基準についてはごちら。 病因・組織病理についてはこちら。 治療と予後についてはこちら。 【ポイント】 ・発症年齢の中央値は49-59歳 ・ほぼすべての患者で気管支喘息…