ちゃんとフィードバックしていますか?
コーチングに続き、効果的なフィードバックスキルについてもお話しておきます。
コーチングについてはこちら。
よく耳にする、フィードバックとして一例を挙げます。
『お疲れ様。あれ出来ていなかったよね。こうすればいいと思うよ』
これは…フィードバックではありませんね。もしこんなフィードバックをしているのであれば、この記事を読むメリットがあると思います。
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それでは、まずフィードバックの定義ですが、以下の3つを満たすものをフィードバックと言います。
①具体的な情報である
②観察された学習者のパフォーマンスと到達すべき目標との差に関すること
③学習者のパフォーマンスの向上を意図している
(Van der Ridder MJM, Med Educ 2008; 42: 189-97.)
昔のフィードバックと言えば、サンドイッチ法が有名でした。
具体的にはまず①相手を褒める、次に②間違いをただす、最後に③褒める
ものです。
しかし、この方法にはいくつかの問題点があります。
①2回褒めるのが意外と難しい→3つ目の褒める所があいまいになりがち
②学習者に見透かされる可能性がある→毎度同じ方法でやると信頼関係に傷が…
③何より学習者が自身で答えに気づくことが出来ない
それを補完するために同じサンドイッチ法でも
①訊ねる、②教える、③訊ねる の新しいサンドイッチが出ているようです。
この方が学習者の意見が聞けて良いかもしれませんね。
①訊ねる→◎『できた点はどこ?』
●できなかった点はあえて聞かなくても、自分から話すので、できた点だけ聴く
②教える→◎『一般的には○○なら・・・した方が良いかもね』
③訊ねる→◎『次また、同じ出来事があったら、どうする?』
→◎『次また、同じ患者が来たら、どう対処する?』
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さて、話は変わって、1分間で出来るフィードバックを含めた指導法についてお話します。
具体的には6つのステップに分けられます。
①考えを聴く
②根拠を確認する
③一般論を示す
④良い点を認める
⑤修正を図る
⑥さらなる学習を勧める
例えば救急外来で研修医の先生が患者さんのことで相談してきた時
①考えを聴く→◎『先生は診断が何か考えられる?』
◎『まず何をしたらいいと思う?』
●ここで大事なのは、自分の意見を言わない事、そして改善点を指摘しない事です。
②根拠を確認する→◎『どうしてそう思うの?』
◎『何がポイントだと思う?』
✖『それは違うよ』と否定しない
③一般論を示す→◎『○○の患者では△△を認める時に、一般的には・・・だよね』
●ここで大事なのは、教えることは一つに絞ること!!多すぎても学習できない!!
④良い点を認める→◎『○○できたのは良かったね』
→◎『○○で十分だと思うよ』
●ここで大事なのは、必ずしも””褒める"必要はない。できたことを認めること
⑤修正を図る→◎『○○するときは○○に注意した方が良いよ』
●ここで大事なのは、具体的かつ実行可能なことに絞ること!
⑥さらなる学習を勧める→◎『この機会に○○について調べてみようか』
→◎『じゃあ来週の火曜日に検討しよう』
●ここで大事なのは、他に学ぶべき事を示唆すること。次回の相談日時を決める事
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フィードバックはティーチングに近いですが、なるべく、その中にもコーチングのスキルを入れて、学習者自身が答えに気づき、さらなる飛躍が出来るようサポートして行きましょう!!