リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病疾患に関して日々疑問になったことを中心にまとめたものです。

血管炎

リウマチ膠原病疾患毎のニューモシスチス肺炎発症リスク

ニューモシスチス・ジロベチイ肺炎(PJP)はリウマチ膠原病疾患の治療を行う上で、常に考慮しなければならない真菌性肺炎です。 HIV患者での発症が有名ですが、リウマチ膠原病疾患を含めたnon-HIV患者の方が、一般に急速に進行し、予後不良と言われています(PM…

PMRにどのくらいGCAが合併する?鑑別点は?

リウマチ性多発筋痛症(PMR)と巨細胞性動脈炎(GCA)は合併すると言われています。 欧米では、およそPMRの10~30%にGCAが合併すると言われておりますが(PMID=28774422)、日本ではもう少し頻度が低く、東北大学からの報告では、PMRの内probable GCAに分類されたの…

胸や脇に痛い筋が出来る病気~Mondor病ってなに?~

Mondor病ってご存じでしょうか?読み方は”モンドール病”と言い、体表に索状の硬結が出来て痛い稀な疾患です。 この索状構造物は、一般的には良性の血栓性静脈炎で、特に治療せずとも、4~8週間で自然に解消します。 実は筆者は3回これになっていますが、今日…

側頭動脈生検陽性GCA vs 陰性GCA vs GCA mimicker~3つのコホートの比較~

巨細胞性動脈炎(GCA)にとって側頭動脈病変の有無を確認する事は非常に重要です。 1990年のACRの分類基準でも『側頭動脈の異常』は一項目となっております。 一方で側頭動脈病変がない大血管型の巨細胞性動脈炎(LV-GCA)も存在します。 こちらは以前にまとめた…

ANCAを測定すべき状況と検査の感度・特異度~2017年国際的コンセンサスステートより~

NCAの測定方法にはいくつかの方法があり、どの方法を選択すれば良いのか皆さん悩まれるかと思います。また、どのような状況でANCAを測定すべきか悩まれることもあるかもしれません。 ANCA関連血管炎以外でANCAが陽性になる疾患は意外と多いので、むやみに提…

ANCA関連血管炎以外でANCAが陽性になる疾患

ANCA関連血管炎以外でANCAが陽性になる疾患は以外とたくさんあります。 2006年のLancetにもそれまでのANCAが陽性になる疾患のまとめがありました(Lancet . 2006 Jul 29; 368 (9533): 404-18. PMID=16876669)が、情報が古いという事と、頻度が書かれていない…

巨細胞性動脈炎のmimicker

巨細胞性動脈炎の鑑別は難しいですよね…特に大血管型の場合は生検も出来ませんので、画像診断が主かと思います。 しばしば原因不明の発熱や高炎症状態で鑑別に上がる巨細胞性動脈炎ですが、その鑑別疾患も多岐に渡ります。

ANCA関連血管炎の長期寛解維持にリツキシマブは有効か?

ANCA関連血管炎のMAINRITSAN3試験の結果が出ました。 ANCA関連血管炎(AAV)の寛解導入においてリツキシマブがエンドキサンと同等である事は既に示されております(RITUXVUS試験)。リツキシマブを含むレジメンが登場してから、AAVの寛解率は53%から88%へと改善…

リツキシマブによる二次性低ガンマグロブリン血症の補充療法

リツキシマブはANCA関連血管炎の導入療法、維持療法で注目されて来ておりますが、その副作用の一つである、低ガンマグロブリン血症はリツキシマブを使用する際には、必ずチェックしなければなりません。 昨年実はリツキシマブによる二次性の低ガンマグロブリ…

リツキシマブによるANCA関連血管炎の維持療法~BSR expert consensus guidelines~

世界的にANCA関連血管炎の寛解導入療法、維持療法におけるリツキシマブ(RTX)の立ち位置は徐々に上昇して来ました。しかし、リツキシマブの維持療法での使用方法については正直エビデンスが限られておりました。 今回、British Society of Rheumatology(BSR)…

OMAAVという病気を知っていますか?

OMAAVという病気をご存知でしょうか? ANCA関連血管炎が原因で起こる中耳炎のことで、 Otitis media with antineutrophil cytoplasmic antibody assiciated vasculitis の略語になります。 比較的最近出てきた概念で、抗菌薬や鼓膜換気チューブなどといった…

ANCA関連血管炎のマネジメント BMJ2020

ANCA関連血管炎(AAV)は抗好中球細胞質抗体(ANCA)に関連した血管炎で、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)、顕微鏡的多発血管炎(MPA)、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の3つの総称です。 つい最近にマネジメントについてBMJからReviewが出たので、ご紹介致します…

クリオグロブリン血症・血管炎 UpToDate 2019

クリオグロブリン血症・血管炎について最新の論文を中心にまとめました。クリオグロブリンが産生される機序や、寒冷で析出する機序など、基礎的な部分も少し詳しくしております。 若かりし頃の私が作成した、こちらもご覧ください。

EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)④~治療と予後~

最後になりましたが、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の治療と予後についてまとめます。 分類基準についてはごちら。 病因・組織病理についてはこちら。 症状と鑑別についてはこちら。 【ポイント】 ・EGPAの治療のゴールドスタンダードはグルココルチコ…

EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)③~疫学と症状と鑑別~

今回は好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の疫学と症状、鑑別についてまとめます。 分類基準についてはごちら。 病因・組織病理についてはこちら。 治療と予後についてはこちら。 【ポイント】 ・発症年齢の中央値は49-59歳 ・ほぼすべての患者で気管支喘息…

EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)②~病因と組織病理~

さて、続いて好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の病因についてです。 このあたり、やはりANCAが陽性となりやすい顕微鏡的多発血管炎(MPA)や多発血管炎性肉芽腫症(GPA)と異なり、研究が遅れているようです。 現時点でわかっていることについてまとめます。 …

EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)①~分類基準2019~

前回の好酸球性心筋炎に引き続き、その原因疾患となる好酸球性多発血管炎性肉芽腫症についてまとめたいと思います。英語で表記するとEosinophilic granulomatosis with polyangiitis、略してEGPAです。 ANCA関連血管炎の一つですが、GPAやMPAと比較して症例…

稀だが忘れてはならない脅威~リウマチ性血管炎~

滑膜炎が主体である関節リウマチに血管炎が生じた場合にリウマチ性血管炎と呼びます。日本では予後の悪さのため、悪性関節リウマチと言われており、難病の指定にもなっております。 最近、入院患者でリウマチ性血管炎が疑われる患者を担当したので、まとめま…

チューインガムテスト~巨細胞性動脈炎の顎跛行の身体所見~

側頭動脈病変を含む巨細胞性動脈炎では顎跛行は頻度は50%未満ですが、特徴的な症状となります。 しかし、問診で顎跛行を尋ねても、本人の自覚は不明なことも少なくなく、身体所見で確認することがなかなか出来ませんでした。 そこで今回は『チューインガムテ…

肺胞出血UpToDate

肺胞出血の患者がいるため、復習しています。UpToDateが最新で最もまとまっていたため、訳してみました。 リウマチ膠原病領域では低酸素血症、貧血、新規陰影の場合に常に鑑別に挙がる病態です。 肺胞出血は肺胞上皮細胞、基底膜、肺毛細血管の破綻によって…

CORTAGE試験:65歳以上の血管炎患者へのエンドキサンの用量

血管炎の寛解導入にはしばしばエンドキサン(シクロホスファミド)が用いられますが、高齢患者の血管炎患者ではエンドキサンを標準量(500mg/m2)で投与すると感染症のリスクが上がる心配があります。それを考慮して減量して投与することも多いのですが、今回ご…

クリオグロブリン血症 @Lancet2012

Ramos-Casals M. et al. Lancet. 2012 Jan 28;379(9813):348-60. The cryoglobulinaemias. レイノー症候群の原因となり得るクリオグロブリン血症についてまとめました。少し古いですが天下のLancetより。 【ポイント】 ・下肢優位の紫斑、レイノー現象ではク…

巨細胞性動脈炎(GCA)と高安動脈炎(TAK)の鑑別

Takayasu arteritis and giant cell arteritis: are they a spectrum of the same disease? Kermani TA. Int J Rheum Dis. 2019 Jan;22 Suppl 1:41-48. こちらもご覧下さい。 《画像で異常を認める動脈による鑑別》 ・腋窩動脈病変はGCAに多い ・左鎖骨下動…

大血管型の巨細胞性動脈炎(GCA)の診断、モニタリング、マネジメント

大血管型の巨細胞性動脈炎のReviewを読みましたので、以下にまとめます。