リウマチ性多発筋痛症(PMR)と巨細胞性動脈炎(GCA)は合併すると言われています。
欧米では、およそPMRの10~30%にGCAが合併すると言われておりますが(PMID=28774422)、日本ではもう少し頻度が低く、東北大学からの報告では、PMRの内probable GCAに分類されたのはわずか6.7%だそうです(PMID=32581186)。
これは、日本で欧米よりもGCAの頻度が低い事が考えられます。
欧米と比べてPMRと診断される率が高い可能性もありますが、現時点ではPMRの有病率は日本よりも欧米の方が高いと考えられますので、現時点では何とも言えません。
欧米ではエコーやPETなどの画像検査を駆使していますが、日本では身体所見、炎症マーカー、そしてステロイドの反応性のみで診断する事が多いように思います。
”PMR”と診断される疾患の中には”他の疾患”が混じっている可能性は常に考えなければなりません。
さて、話は戻って”PMRと診断した患者さんがGCAを合併しているか”という事は臨床上、非常です。以下にPMRとGCAの鑑別ポイントをまとめます。
AION:前部虚血性視神経症、CRAO:中枢網膜動脈閉塞症、LV-GCA:大血管型巨細胞性動脈炎、RAPD:相対求心性瞳孔欠損
特に身体所見が重要そうですね!!!
これ以外にもGCAを合併するPMRの方が血小板やESRが高く、Hbが低いなども鑑別点になります(PMID=9733456)。
日本ではPMRとGCAの合併率は低いですが、鑑別点をしっかり理解しておきましょう!!
ちなみにPMRでGCAの所見や徴候がない場合でも、1/3の方でPET-CTを撮影すると、潜在的な大血管病変が見つかるそうです(PMID=28774422)。無駄な撮影は避けましょう)!!!
改訂記録
#1. 2021.02.12
冒頭の『PMRが日本で過剰に診断されている可能性がある』を変更。
→現時点ではそれを明確な比較データが得られないため。
【参考文献】
Tal Gazitt, et al. Curr Rheumatol Rep. 2020 Jun 19; 22 (8): 40. "Polymyalgia Rheumatica: a Common Disease in Seniors" PMID=32562020