リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病疾患に関して日々疑問になったことを中心にまとめたものです。

SLE

リウマチ膠原病疾患毎のニューモシスチス肺炎発症リスク

ニューモシスチス・ジロベチイ肺炎(PJP)はリウマチ膠原病疾患の治療を行う上で、常に考慮しなければならない真菌性肺炎です。 HIV患者での発症が有名ですが、リウマチ膠原病疾患を含めたnon-HIV患者の方が、一般に急速に進行し、予後不良と言われています(PM…

SLEの新しい診断ツール~SLEリスク確率指数(SLERPI)とは~

最近、SLEらしさがスコアリングで分かる指標が発表されました。 802人のSLE患者コホートから、例によって機械学習によってSLEに関連の強く因子に抽出し、重み付けをしてモデルを作成しています。 以下にお示しします。

SLEの慢性期のステロイドは中止できるか?

SLE

全身性エリテマトーデスにとってステロイド(グルココルチコイド)は不可欠な薬ですが『状態が安定した慢性期にそれを減量中止できるか』というのは永遠のテーマです。 慢性期に低用量のステロイドを継続すべきかやめるべきか、という臨床的疑問に対して今まで…

混合性結合組織病(MCTD)の新しい診断基準 2019年版

混合性結合組織病 (MCTD)の診断基準が2019年に改訂されていました。 改訂に関わった当院の医局員の先生からのお知らせで知りました。 2004年から15年ぶりに改訂になります。混合性結合組織病は日本で主に知られている概念ですので、この純国産の診断基準は知…

健常者で見られやすい抗核抗体~抗DFS70抗体~

血液検査で偶然『抗核抗体が陽性』になる事はしばしばありますよね。 専門外来でもこのようなご紹介を受ける事がしばしばあります。 『抗核抗体』は『自己免疫疾の太鼓判』というイメージがあるかと思いますが、 無症状の場合、抗核抗体陽性のみでは、自己免…

簡単!!抗核抗体の染色パターンの考え方

『抗核抗体の蛍光抗体法のパターンと対応抗体が覚えられない!!』と言う声をしばしばお聞きします。確かにそうです。 気合を入れれば、覚えられなくはないかと思いますが、正直大変ですよね。 何か良い覚え方がないか考えましたが、そんな小手先の事はせず…

SLE患者の悩ましい倦怠感はどうマネジメントするか?

SLE

SLEではしばしば倦怠感が患者さんを苦しめる事があります。疾患の活動性ばかりに目が言っているとついつい患者さんの訴えを軽んじてしまうかもしれません。 治療のガイドラインの進歩も著しいですが、”倦怠感”という少し取っ付きにくい領域についても医療者…

間質性肺疾患を起こしやすいリウマチ膠原病とは?

関節リウマチや皮膚筋炎、強皮症などの全身性自己免疫性リウマチ性疾患(SARD)は、しばしば間質性肺疾患(ILD)を起こします。それぞれの疾患でどれくらいILDを起こしやすいかは、各国から様々なコホート研究が発表されていますが、どの疾患がどのくらいILDを起…

SLEの診断と治療~Updated in 2020~

SLE

また、SLEに関して素晴らしいReviewが出ました。 このReviewが優れているのは、図表、アルゴリズムが多く用いられている点と、引用文献の多くが過去5年以内のものである点です。 それぞれの項目も少ない分量でまとめられており、読みやすいです。 是非、ご堪…

軽症のSLEはどれくらい重症化するか?

SLE

様々な薬剤が登場してきたおかげで全身性エリテマトーデス(SLE)患者さんの生命予後は著明に改善しました。現在では生命予後の改善から生活の質(QOL)の改善へ目標が移行して来ていると言っても過言ではありません。 しかし、生命予後は改善しているものの、重…

関節痛を起こすリウマチ膠原病関連疾患の鑑別アルゴリズム

一般内科医のための関節痛を訴える関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、脊椎関節炎、変形性関節症の鑑別のためのアルゴリズムが公開されていたため、以下にお示しします。 いくつか気になるところもありますが、一般的な慢性関節痛を起こすリウマチ膠原病…

NPSLEの認知機能障害は血液脳関門の漏出と関連する可能性!?

SLE

認知機能障害は全身性エリテマトーデス(SLE)の神経精神症状の一つです。そのメカニズムには血栓性脳血管虚血、脳に対する自己抗体、補体活性化が挙げられています(PMID=29927108)。 これら自体が血液脳関門に傷害を加える可能性があり、それによって血液内の…

SLE患者の死亡に関わるリスク因子

SLE

早期診断と強化治療のおかげでSLEの5年生存率は1950年代の50%から1990年代以降では90%以上となりました。 今までもSLE患者の死亡率に関連するリスク因子についての報告がありましたが、つい最近イギリスから報告されたものをご紹介します。

SLEの予防と治療戦略~Nature Review Rheumatology 2019~

SLE

2019年はSLE関連の論文が刷新された記念すべき年でした。 SLE、抗リン脂質抗体症候群に対するEULARのRecommendationも改訂され、さらにLancetやNature Review Rheumatologyなどの有名雑誌からもSLEの予防や治療戦略についての総説が続々と発表されました。 …

全身性エリテマトーデスの鑑別疾患

SLE

SLEのmimickerについてまとまった文献があったので、以下に日本語訳を示します。 ご参考になれば幸いです。 【参考文献】 Gatto M, et al. Nat Rev Rheumatol. 2019 Jan; 15 (1): 30-48. "New therapeutic strategies in systemic lupus erythematosus manag…

ITPはSLE発症のハイリスクである

本日ご紹介するのは、免疫性血小板減少減少性紫斑病(ITP)と全身性エリテマトーデス(SLE)の関係について考察した短い論文です。 結論から申し上げますと、ITPはSLE発症のハイリスクであるため、ITPの診断の入り口である血液中の先生とリウマチ内科医が協力し…

ループス腎炎 EULAR/ERA-EDTA Recommendations 2019

ループス腎炎は全身性エリテマトーデス患者の40%に認める病態です。 2012年にEULAR/ERA-EDTAのループス腎炎ガイドラインが出ましたが、その後、カルシニューリン阻害薬の使用や、マルチターゲット療法、モニタリング、治療目標などについて新しいエビデンス…

SLEの鑑別~パルボウイルス感染症~

SLEの最大の鑑別にパルボウイルス感染症があります。 『SLEを疑ったら、パルボウイルス感染症を考える!!』という格言があるくらいパルボウイルス感染症の症状はSLEに類似します。発熱、関節炎、皮疹などの症状はもちろん、血清学的に、低補体や抗核抗体が…

ビタミンD欠乏は自己免疫性疾患を引き起こす

ビタミンD欠乏が低カルシウム血症や骨粗鬆症だけでなく、自己免疫疾患と関係する事は昔から少しずつ知られておりました。 全身性エリテマトーデス(SLE)でもビタミンD欠乏が様々な自己免疫反応を起こすことが言われております。 今回は少し古いですが、SLE患…

高齢発症SLE!!!と思う前に~薬剤誘発性ループス~

高齢発症のSLEを見たら、まず薬剤性ループスを疑います。外来に2名疑わしい患者さんがいるため、この疾患について久しぶりに知識をUpdateしました。 UpToDateが最もまとまっており、これに最新の論文を付け加えてまとめました。 歴史 分類 疫学 病因 遺伝的…

健常者の抗核抗体陽性率

無症状ですが、『抗核抗体陽性』のご紹介をしばしば受けることがあります。 健常者でも抗核抗体が陽性となる事は有名ですが、特に間接蛍光抗体法ではしばしば偽陽性を経験します。 今回は昔から言われている健常者の抗核抗体の陽性率と日本のデータについて…

【簡易版】抗核抗体の国際分類基準2019

前回、抗核抗体の国際分類基準について細かくまとめましたが、正直、リウマチ専門医でも、普段見慣れていないと分かりづらいかもしれません。 臨床で忙しい先生方、非リウマチ科医の先生方でも、簡単に理解できるよう表を作成してみました。従来の分類からの…

抗核抗体の国際分類基準2019

抗核抗体をスクリーニング検査する時、『○○倍』だけでなく、『Homogeneous』や『Speckled』などと抗核抗体の染色パターンが一緒に帰って来ます。これは間接蛍光抗体法と呼ばれる手法を用いたものです(後述)。 自己免疫リウマチ性疾患では自己の細胞の様々な…

肺胞出血UpToDate

肺胞出血の患者がいるため、復習しています。UpToDateが最新で最もまとまっていたため、訳してみました。 リウマチ膠原病領域では低酸素血症、貧血、新規陰影の場合に常に鑑別に挙がる病態です。 肺胞出血は肺胞上皮細胞、基底膜、肺毛細血管の破綻によって…

どう違う?~SLEの分類基準~

SLEの2大分類基準としてACR1997とSLICC2012があります。今回はこれらの特徴や違い、使い分けについてまとめたいと思います。最後に2019年にACRとEULARから提唱された新しい分類基準についても触れています。いずれの分類基準も臨床でSLEを診断する事を目的と…

SLE EULAR recommendations 2019

SLEのEULAR recommendations 2019が出たので以下にまとめます。ご参考になれば。 お時間がない方は以下の表だけでも見ておきましょう!! 【ポイント】 ・寛解は目指すべきだが, 達成困難である場合は, 低活動性(抗マラリア薬を使用してSLEDAI≤3, またはPSL≤7.…

どれを使う?~SLEの活動性評価~

SLE

SLEの活動性の評価方法は複数あります。そのどれも優劣があります。 今回は様々な活動性評価方法を比較してみます。