リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病疾患に関して日々疑問になったことを中心にまとめたものです。

SLEの新しい診断ツール~SLEリスク確率指数(SLERPI)とは~

最近、SLEらしさがスコアリングで分かる指標が発表されました。

 

802人のSLE患者コホートから、例によって機械学習によってSLEに関連の強く因子に抽出し、重み付けをしてモデルを作成しています。

 

以下にお示しします。

 

 

SLE関連因子の抽出

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これが面白いなと思いました。項目自体はACR/EULAR2019と変わりませんが、

 

同じ血球減少症でも白血球減少よりも血小板減少症、自己免疫性溶血性貧血がよりSLEらしいという事が分かります。血液内科の先生方、仲良くしてください。

 

また皮疹がACR/EULAR2019同様かなり重要視されていますが、中でも頬部紅斑斑状丘疹様紅斑が重要である事が分かります。皮膚科の先生方、仲良くしてください。

 

これらの項目から重み付けを考慮し、以下のSLERPIが作成されました。

 

SLERPI

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※重要な事はSLEの臨床的疑いがある患者に適応する事

※薬剤性、感染症、悪性腫瘍、その他の疾患は除外する事

※7点以上で感度94.2%特異度94.4%正確率94.2%

 

既存の分類基準との比較
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既存の分類基準と比較しても高い感度, 特異度, 正確率を示しています。

 

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 さらにSLEの罹患期間に関わらず、高い感度を有している事が分かります。

 

検証コホートでの感度, 特異度, 正確率

SLE患者512人、対照群143人のコホートで検証が行われました。

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ここでも高い感度と特異度、そして正確率を示しました。 

 

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 注目すべきは、SLEの様々なサブグループでも高い感度を示しているという事です。

 

最後に

こういうモデルが出るたびに思う事は『当てはめ診療をしない』という事です。

分類基準のスコアは『スタンプラリー』ではありません。

ただし、点数が高い項目に注目すると『SLEらしさ』がどんなものか見えてくるかと思います。

 

 

【参考文献】

Christina Adamichou, et al. Ann Rheum Dis. 2021 Feb 10 ;annrheumdis-2020-219069. "Lupus or not? SLE Risk Probability Index (SLERPI): a simple, clinician-friendly machine learning-based model to assist the diagnosis of systemic lupus erythematosus" PMID=33568388