リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病疾患に関して日々疑問になったことを中心にまとめたものです。

鑑別

リウマチ膠原病疾患へのアプローチ

リウマチ膠原病は多彩な症状を呈し、非典型例も多いため、苦手とする方も多いかもしれません。リウマチ膠原病診療への苦手意識をなくすには、文献的学習だけではなく、可能な限り多くの疾患を診る事に限ると思いますが、初見で診断する事は難しい事も少なく…

リウマチ膠原病疾患症状早見表

皆様にリウマチ膠原病疾患をより理解して頂くために、どうしたら良いずっと考えております。リウマチ膠原病疾患は症状が多彩で捉えどころがない事が苦手な要因ではないかとふと思い、それならば症状がまとまった一覧があれば、と思い立ちました。

緊急性の高いリウマチ膠原病疾患

リウマチ膠原病内科はまったりしている印象ですが、1分1秒を争うような緊急性の高い疾患や状態があります。以下にその例を挙げます。

"偽痛風"の非典型的な臨床像

”偽痛風”ことピロリン酸カルシウム結晶沈着症 (calcium pyrophosphate dehydrate deposition disease: CPPD)は身体の色々な部分に沈着します。 本日はそんな非典型な臨床像をPubmedで文献を500件ほどReviewし、なるべく臨床写真を閲覧でき、かつ病理組織学的…

胸や脇に痛い筋が出来る病気~Mondor病ってなに?~

Mondor病ってご存じでしょうか?読み方は”モンドール病”と言い、体表に索状の硬結が出来て痛い稀な疾患です。 この索状構造物は、一般的には良性の血栓性静脈炎で、特に治療せずとも、4~8週間で自然に解消します。 実は筆者は3回これになっていますが、今日…

側頭動脈生検陽性GCA vs 陰性GCA vs GCA mimicker~3つのコホートの比較~

巨細胞性動脈炎(GCA)にとって側頭動脈病変の有無を確認する事は非常に重要です。 1990年のACRの分類基準でも『側頭動脈の異常』は一項目となっております。 一方で側頭動脈病変がない大血管型の巨細胞性動脈炎(LV-GCA)も存在します。 こちらは以前にまとめた…

関節痛を起こすリウマチ膠原病関連疾患の鑑別アルゴリズム

一般内科医のための関節痛を訴える関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、脊椎関節炎、変形性関節症の鑑別のためのアルゴリズムが公開されていたため、以下にお示しします。 いくつか気になるところもありますが、一般的な慢性関節痛を起こすリウマチ膠原病…

ANCA関連血管炎以外でANCAが陽性になる疾患

ANCA関連血管炎以外でANCAが陽性になる疾患は以外とたくさんあります。 2006年のLancetにもそれまでのANCAが陽性になる疾患のまとめがありました(Lancet . 2006 Jul 29; 368 (9533): 404-18. PMID=16876669)が、情報が古いという事と、頻度が書かれていない…

巨細胞性動脈炎のmimicker

巨細胞性動脈炎の鑑別は難しいですよね…特に大血管型の場合は生検も出来ませんので、画像診断が主かと思います。 しばしば原因不明の発熱や高炎症状態で鑑別に上がる巨細胞性動脈炎ですが、その鑑別疾患も多岐に渡ります。

【Review】免疫不全患者の重症呼吸器感染症

近年、免疫不全状態にある重症患者の割合はICU入院全体の約3分の1を占めるまで増加しているようです。 殊に昨今では新型コロナウイルス感染症の流行があり、重度呼吸器感染症においてはより鑑別が重要になってきていると思います。 今回は免疫不全患者におけ…

リウマチ性多発筋痛症の鑑別疾患

『リウマチ性多発筋痛症』という病名は、両上肢挙上困難+炎症マーカー上昇で比較的簡単に付けられてしまいますが、同じような症状を呈する疾患は多岐に渡ります。 簡単に診断する前に、以下の鑑別疾患について今一度、思いを巡らせて見てください。

味覚障害の鑑別疾患

味覚障害の鑑別も色々あります。こういうのは家庭医の先生の方が得意なのではないでしょうか。プライマリケアでかなり見ていそうです。 【嗅覚障害を起こすウイルス】 【嗅覚障害のウイルス以外の鑑別疾患】 【味覚障害の鑑別疾患】 【参考文献】 ●Malaty J,…

嗅覚障害の鑑別診断~ウイルス以外~

嗅覚障害を起こすウイルスについて前回書きましたが、ウイルス以外にもこんなに嗅覚障害を起こす病気があるんですね。 【嗅覚障害を起こすウイルス】 【嗅覚障害の原因】 【参考文献】 ●Malaty J, et al. Am Fam Physician. 2013 Dec 15; 88 (12): 852-9. "S…

DICとTMAの鑑別

播種性血管内凝固(DIC)と血栓性微小血管障害(TMA)はしばしば鑑別が困難な場合があります。両者とも血小板減少、出血傾向、臓器不全に関連した微小血管血栓症を呈します。これらは治療法が異なるため、臨床的に鑑別する事が重要です。 日本からの報告でこの両…

SLEの鑑別~パルボウイルス感染症~

SLEの最大の鑑別にパルボウイルス感染症があります。 『SLEを疑ったら、パルボウイルス感染症を考える!!』という格言があるくらいパルボウイルス感染症の症状はSLEに類似します。発熱、関節炎、皮疹などの症状はもちろん、血清学的に、低補体や抗核抗体が…

リンパ節石灰化の鑑別

時々、CTで見かけるリンパ節の石灰化…鑑別と言えば、結核!!と思っていましたが、他に何があるかなと思い、まとめてみました。 ちなみに脾臓の石灰化に関しては以下をご覧ください。 ※赤文字は頻度が高いものです。 大きく分類すると、 ●肉芽腫疾患(結核、サ…

関節痛・関節炎を起こすウイルス

発症から6週間以内の関節炎の鑑別にウイルス感染症は常につきものです。 この記事では関節炎に加えて、関節痛を起こすウイルスについてまとめました。 関節痛を起こすウイルス アルファウイルス 関節炎を起こすウイルス メカニズム 診断ポイント 注意点 治療…

眼窩先端症候群という疾患を知っていますか?

"急性発症の単眼の視力低下"の原因として"巨細胞性動脈炎"が疑われて紹介された患者さんで、蓋を開けてみると、"眼窩先端症候群"だった方がおられました。 眼窩の構造は非常に複雑であるため、理解がなかなか進まないですが、逆に解剖を理解してしまえば、症…

視神経障害の鑑別

報告されている視交叉までの視神経障害の原因をまとめてみました。 うーん、多い… 急性視力低下の鑑別とアプローチはこちら。 視神経障害の診断 視神経障害の鑑別 視神経障害の診断 なっと言っても交叉点滅対光反射試験が重要だと思います。 まず、対光反射…

急性視力低下~鑑別とアプローチ~

『急性の視力障害』と聞くと、『すぐに眼科!!』と思うかもしれません。しかし、眼科医の先生がすぐに対応できない病院も少なくなく、その場合は救急や一般内科医の先生が対応せざるを得ません。 実は『視力障害』は問診と一般診察である程度鑑別が出来ます…

乳頭浮腫~機序と原因~

乳頭浮腫の発生機序についてあまり理解していなかったので、調べてみました。 解剖がとても大事だとわかりました。 こちらもご覧ください。 正常解剖 視神経鞘と髄液循環 栄養血管 黄斑の栄養血管 乳頭浮腫の機序 乳頭浮腫の原因 まとめ 正常解剖 視神経鞘と…

【簡易版】抗核抗体の国際分類基準2019

前回、抗核抗体の国際分類基準について細かくまとめましたが、正直、リウマチ専門医でも、普段見慣れていないと分かりづらいかもしれません。 臨床で忙しい先生方、非リウマチ科医の先生方でも、簡単に理解できるよう表を作成してみました。従来の分類からの…

ばち指~鑑別と機序~

関節痛の患者で、ばち指を認めたら何を疑うか?? ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 答えは肥大性骨関節症ですが、ばち指の鑑別や機序について改めてまとめてみました。 ばち指の所見 ばち指の鑑別 ばち指の機序 1. 異常血管新生 2. 低酸素血症 3. 慢性炎症 診…

全身痛の考え方

全身痛について私の考え方を発表させて頂く機会がございました。 発表時間10分のみでしたので、BPSモデルのBioの部分だけです。 鑑別や初期検査検査など、参考になれば幸いです。 Thinking about general pain from Tsuneyasu Yoshida

仙腸関節炎~診察と鑑別~

若年者の慢性腰痛で鑑別に挙げたい仙腸関節炎の診察と鑑別を以下にまとめます。 《診察》 なお、患者に一番痛い所を指さしてもらったときに以下のように示す場合も仙腸関節炎を疑うそうです(Fortin finger test→名前は覚えなくて良いかも)。 《鑑別》 ※厳密…

ブドウ膜炎の鑑別

ブドウ膜炎の鑑別について非常にわかりやすい文献を見つけました。 ↑ こちらにもまとめたのですが、手っ取り早く鑑別するなら↓の図がお勧めです。 ブドウ膜炎は ①『両側性 or 片側性 vs 前部ブドウ膜炎 or 汎ブドウ膜炎(眼底病変あり)』 ②『肉芽腫性 or 非肉…

手が震える時に疑う薬剤~薬剤性振戦の鑑別~

薬剤を処方した後に、『手が震える』と仰る患者さんがたまにおられます。 今回はそんな振戦を起こす可能性がある薬剤についてまとめたいと思います。 リウマチ膠原病領域では特にステロイド、タクロリムス、シクロスポリンなどの薬剤による振戦が有名です。 …

好酸球性心筋炎UpToDate

好酸球増多症ではしばしば心筋障害が起こります。好酸球増多症の原因精査目的で入院された方で、心筋肥大を認めた患者がいらしたので、以前に発表したスライドを掘り起こし、復習しました。 **************************************************************…

繰り返す髄膜炎の鑑別

再発性髄膜炎の鑑別としてMollaret髄膜炎(HSV-2による髄膜炎)がありますが、正直、これ以外の髄膜炎の鑑別をあまり知らなかったです。 少し前に、髄膜炎を繰り返している患者がいたので、鑑別をまとめてみました。 【ポイント】 ・再発性髄膜炎は5つのカテゴ…

稀だが忘れてはならない脅威~リウマチ性血管炎~

滑膜炎が主体である関節リウマチに血管炎が生じた場合にリウマチ性血管炎と呼びます。日本では予後の悪さのため、悪性関節リウマチと言われており、難病の指定にもなっております。 最近、入院患者でリウマチ性血管炎が疑われる患者を担当したので、まとめま…