関節リウマチ
2021年4月に日本リウマチ学会より関節リウマチ診療ガイドライン2020が発刊となりました。2014年から6年ぶりの改訂になります。 今までは米国リウマチ学会や欧州リウマチ学会のガイドラインを参考にしていた方も多いかと思いますが、これから数年はこちらを参…
ニューモシスチス・ジロベチイ肺炎(PJP)はリウマチ膠原病疾患の治療を行う上で、常に考慮しなければならない真菌性肺炎です。 HIV患者での発症が有名ですが、リウマチ膠原病疾患を含めたnon-HIV患者の方が、一般に急速に進行し、予後不良と言われています(PM…
PMRの有病率ってどのくらいか分かりますか? 『日本は超高齢化社会だから、多いに決まっている!』と言う方もいるかもしれません。 私の外勤先では、たった2か月のうちにPMR、RS3PEを5人も診断された先生もいるくらいです。 しかし、本当にそんなに多いので…
関節リウマチ(RA)を含めて、リウマチ膠原病疾患はしばしば間質性肺疾患(ILD)を合併します。 一方で今までそれらに使用されるメトトレキサート(MTX)も間質性肺疾患を起こす可能性があると懸念されてきました。 ゆえに、間質性肺炎が少しでもある関節リウマチ…
リウマチ性多発筋痛症(PMR)のエコー所見と言えば、上腕二頭筋腱の腱鞘滑膜炎や肩関節の肩甲下・三角筋下滑液包炎が有名です。 2012年のEULAR/ACRの分類基準でもエコーの所見を用いた項目が基準に含まれています。 しかし、この上腕二頭筋腱鞘滑膜炎や肩の滑…
たまに患者さんから『関節リウマチはどのくらい治るんですか』と聞かれる事があります。海外からは様々なコホート研究の結果が出されておりますが、日本人には日本のデータを示した方が良いだろうといつも思います。 東京女子医大が運営しているIORRA cohort…
関節リウマチに限らず『朝のこわばり』は炎症性関節炎を示唆する特徴的な所見です。 『夜間にずっと動かないから、炎症を起こしている関節が固まってしまう』と教わって来ましたが、朝のこわばりが何故起こるのか、ちゃんと考えた事がありませんでした。 し…
関節リウマチや皮膚筋炎、強皮症などの全身性自己免疫性リウマチ性疾患(SARD)は、しばしば間質性肺疾患(ILD)を起こします。それぞれの疾患でどれくらいILDを起こしやすいかは、各国から様々なコホート研究が発表されていますが、どの疾患がどのくらいILDを起…
一般内科医のための関節痛を訴える関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、脊椎関節炎、変形性関節症の鑑別のためのアルゴリズムが公開されていたため、以下にお示しします。 いくつか気になるところもありますが、一般的な慢性関節痛を起こすリウマチ膠原病…
関節リウマチ治療の中心的役割のメトトレキサートについてまとめている論文を和訳しました。メトトレキサート治療に関わる全ての医療者に読んでいただきたい内容です。
関節リウマチで、手指や手関節の滑膜炎は、臨床医がしばしば気にかけている部位だと思いますが、一方で足病変は外来をしていても、ついつい忘れてしまう事が多いかもしれません。 そもそも臨床医が関節リウマチの活動性を評価するための指標であるCDAI、SDAI…
前回、DMARDsによる治療開始前の患者でSeronegative RAとSeropositive RAのベースラインでの疾患活動性や超音波での滑膜炎の程度を比較した論文をご紹介しました。 『Seronegative RAの方が疾患活動性が高い』という結果でしたが、同じ患者さんたちを2年間外…
関節リウマチにはリウマチ因子(RF)と抗CCP抗体が陽性の『Seropositive RA』とそれらが陰性の『Seronegative RA』があります。 Seronegative RAは関節リウマチ全体の15%程度を占めるという報告があります(PMID=27094444)が、Seropositive RAと臨床症状が異な…
喫煙は関節リウマチ(RA)発症の環境リスクであるとお伝えしました。 気になるのはその機序です。喫煙が関節リウマチに与える影響を調べた日本の研究がありましたのでご報告致します。 たばこには多数の毒性を持った物質が含まれますが、その中でも主要なもの…
関節リウマチの発症には遺伝因子と環境因子が関わると言われています。 遺伝因子は特に1親等(親、子まで)に関節リウマチ患者がいる場合はリスクが高まりますが、そうは言ってもこれだけで発症するというわけではなく、環境因子と相まって発症する可能性が指…
健康診断の血液検査の項目に『リウマチ因子(RF)』がある影響で、しばしば『RF陽性』という紹介が来ます。 確かに関節リウマチの診断の役に立ち、予後に関連すると言われておりますが、関節リウマチ以外にも多数の疾患で陽性となり、さらに健常者でも一定の割…
リウマチ性多発筋痛症(PMR)と血清反応陰性の関節リウマチ(Seronegative RA)はいずれも高齢者の炎症性リウマチ疾患の中で頻度の高い疾患です。 今回はそんな二つの相違点に着目したReviewをご紹介します。 おまけで血清反応陽性と陰性の関節リウマチの違いや…
かつては関節の変形を防ぐことが出来なかった関節リウマチですが、早期発見、早期治療、そして治療選択の多様化のため、関節予後は各段と改善しました。 今では関節の著明な変形を見る事が少なくなったという言うぐらいです。 そこで、次の湧いてきたのは『…
関節リウマチがどうやって発症して行くのか分かりますか? EULAR(欧州リウマチ学会)は2012年に、関節リウマチになるまでの段階(自然史)を下図の通り、6つのフェーズに分けて定義しました(1)。 関節リウマチが発症してからの治療はかなり確立して来ましたが、…
前回、抗CCP抗体は脊椎関節炎で高率に陽性になると話しました。 しかし、それ以外の疾患でも陽性になる事が知られています。 今回は関節リウマチ以外の疾患での抗CCP抗体陽性率についてまとめたいと思います。 お時間がない方は最後のまとめからお読み下さい…
先日、他院で『関節リウマチ』として治療されている患者さんが、小生の一般内科外勤に降圧薬の処方と、ついでに関節痛の増悪を訴えて来院されました。 もともと『抗CCP抗体強陽性』のため、関節リウマチと診断されたとの事ですが、診察すると足関節炎、肘関…
関節リウマチの診断にRFや抗CCP抗体が有用であることは周知の事実だと思いますが、一昔前まで、RFや抗CCP抗体などの抗体が陰性化する事で、寛解に達する事が出来ると考えられておりました。 そのため、治療経過の中で、値をずっと測定している先生や、値が気…
関節リウマチの早期治療は関節予後に関係すると言われております。2010年には早期関節リウマチを分類するための基準が設けられました。 しかし、もう少し遡って、関節炎を発症する前の関節痛の段階で、関節リウマチに進展するか、予測出来ないかは未だに不明…
欧州リウマチ同盟(EULAR)からの関節リウマチ(RA)に関するRecommendationが3年ぶりに改訂されました。 ここでは2016年のRecommendationとの変更点などについてまとめたいと思います。 言葉の定義 包括的原則 変更点 個々の推奨事項 変更点 治療のアルゴリズム…
リウマチ疾患に関節エコーが重要である事は言うまでもありません。 滑膜肥厚、滑液貯留、血流信号など様々な所見を観察することで、診断、鑑別、活動性評価などが簡便に出来る事が大きな利点です。 今回は欧州リウマチ学会(EULAR)とOutcome Measures in Rheu…
関節リウマチの治療が多様化しておりますが、治療開始前やモニタリングが使用する薬剤によって多少変わってきます。以下に簡単にまとめました。
滑膜炎が主体である関節リウマチに血管炎が生じた場合にリウマチ性血管炎と呼びます。日本では予後の悪さのため、悪性関節リウマチと言われており、難病の指定にもなっております。 最近、入院患者でリウマチ性血管炎が疑われる患者を担当したので、まとめま…
関節リウマチは早期の診断と早期治療介入により、関節予後が大幅に改善しました。 ACR/EULARは2010年に下記の分類基準を発表しましたが、分類基準ではあるものの、日常診療において早期関節リウマチの診断において、強力な助太刀となりました。