意外に多い関節リウマチ患者の足痛~アンケート調査から~
関節リウマチで、手指や手関節の滑膜炎は、臨床医がしばしば気にかけている部位だと思いますが、一方で足病変は外来をしていても、ついつい忘れてしまう事が多いかもしれません。
そもそも臨床医が関節リウマチの活動性を評価するための指標であるCDAI、SDAI、DAS28では、下肢の病変の評価は膝までで、それよりも遠位の関節炎の評価は含まれていませんし、忙しい外来では、いちいち靴や靴下を脱ぐ事は、医師にとっても患者さんにとっても大変という事があると思います。
しかし、患者さんの声に耳を傾けてみますと、実に多くの患者さんが足症状を訴えている事が分かります。
イギリスで行われた585名の関節リウマチ患者へのアンケート調査(1)によると、90%以上の方で今まで一度は足痛を自覚した事があるとのことです。
下図は調査時、調査1か月以内、今までに分けて自覚した事のある疼痛部位をまとめたものです。
これを見るといずれの状況でもMTP関節を含む前足部痛の自覚が多い事が分かります。
また、本文中では、発症2年以内の早期の関節リウマチ患者でも足痛の自覚は90%に及ぶと回答されています。
一方で、患者さんから見て、医師が手の診察を最後にしたのが平均で6.2か月前であることに対して、足の診察を最後にしたのが平均16.5か月前と、医師による足の診察の頻度が低い事が露呈されました。
もちろん、患者さんへのアンケート調査になりますので、足痛が関節リウマチ病変なのかは定かではありませんし、記憶に基づく回答ですので、間違いや多少の脚色が付く可能性は否定できませんが、このように患者さんが感じている事は真摯に受け止めなくてはいけないと考えます。
ちなみに多変量解析を行うと、最近の足のこわばり、しびれが足痛に関連するリスクとして挙げられました。合わせて問診したいですね。
なお、滑膜炎だけでなく、以下の足の問題も重要視していきましょう(2)!!!
●足の構造上の変形:外反母趾、鉤爪趾、扁平足など
●皮膚の問題:角化症、皮膚硬結、潰瘍、乾皮症、水虫など
●爪の問題:爪甲剥離症、爪甲縦条など
【参考文献】
(1) Otter SJ, Lucas K, Springett K, Moore A, Davies K, Cheek L, et al. Foot pain in rheumatoid arthritis prevalence, risk factors and management: an epidemiological study. Clin Rheumatol. 2010 Mar;29(3):255–71. PMID=19997766
(2) Stolt M, Suhonen R, Leino-Kilpi H. Foot health in patients with rheumatoid arthritis—a scoping review. Rheumatol Int. 2017 Sep 1;37(9):1413–22. PMID=28324133