リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病疾患に関して日々疑問になったことを中心にまとめたものです。

総合内科

どう使い分ける?乾癬性関節炎ガイドライン

乾癬性関節炎のガイドラインは国内外で多岐に渡ります。エビデンスが十分でない事を反映して、ガイドライン毎に推奨事項が若干異なります。 関節リウマチと違って、どのガイドラインを選択するかによってマネジメントが大きく異なり、ガイドラインを妄信して…

リウマチ膠原病疾患へのアプローチ

リウマチ膠原病は多彩な症状を呈し、非典型例も多いため、苦手とする方も多いかもしれません。リウマチ膠原病診療への苦手意識をなくすには、文献的学習だけではなく、可能な限り多くの疾患を診る事に限ると思いますが、初見で診断する事は難しい事も少なく…

リウマチ膠原病疾患症状早見表

皆様にリウマチ膠原病疾患をより理解して頂くために、どうしたら良いずっと考えております。リウマチ膠原病疾患は症状が多彩で捉えどころがない事が苦手な要因ではないかとふと思い、それならば症状がまとまった一覧があれば、と思い立ちました。

緊急性の高いリウマチ膠原病疾患

リウマチ膠原病内科はまったりしている印象ですが、1分1秒を争うような緊急性の高い疾患や状態があります。以下にその例を挙げます。

私のリウマチ膠原病診療13か条 ver.1

最近心躍る面白い論文をご紹介する機会が少なくなってしまったので、代わりに私のリウマチ膠原病診療にへの心構えをご紹介したいと思います。 どこかの原稿に載るかもしれませんし、載らないかもしれません。どこかに載せても良いよという編集者・出版社さん…

"偽痛風"の非典型的な臨床像

”偽痛風”ことピロリン酸カルシウム結晶沈着症 (calcium pyrophosphate dehydrate deposition disease: CPPD)は身体の色々な部分に沈着します。 本日はそんな非典型な臨床像をPubmedで文献を500件ほどReviewし、なるべく臨床写真を閲覧でき、かつ病理組織学的…

ステロイドの副作用の新しい評価スケール~複合グルココルチコイド毒性指標~

先日『SLEの慢性期のステロイドは中止できるか? 』というテーマの論文をご紹介しましたが、その中で、ステロイドの副作用の評価スケールを使用しておりました。 恥ずかしながらステロイドの副作用って、例えば骨粗鬆症は『ある』か『なし』で評価しておりま…

胸や脇に痛い筋が出来る病気~Mondor病ってなに?~

Mondor病ってご存じでしょうか?読み方は”モンドール病”と言い、体表に索状の硬結が出来て痛い稀な疾患です。 この索状構造物は、一般的には良性の血栓性静脈炎で、特に治療せずとも、4~8週間で自然に解消します。 実は筆者は3回これになっていますが、今日…

健常者で見られやすい抗核抗体~抗DFS70抗体~

血液検査で偶然『抗核抗体が陽性』になる事はしばしばありますよね。 専門外来でもこのようなご紹介を受ける事がしばしばあります。 『抗核抗体』は『自己免疫疾の太鼓判』というイメージがあるかと思いますが、 無症状の場合、抗核抗体陽性のみでは、自己免…

関節痛を起こすリウマチ膠原病関連疾患の鑑別アルゴリズム

一般内科医のための関節痛を訴える関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、脊椎関節炎、変形性関節症の鑑別のためのアルゴリズムが公開されていたため、以下にお示しします。 いくつか気になるところもありますが、一般的な慢性関節痛を起こすリウマチ膠原病…

DPP4阻害薬は自己免疫疾患のリスクを下げる

DPP4阻害薬がRS3PEや関節リウマチなどが発症する、などという症例報告、ケースシリーズは探せばいっぱい出てきます。ただ、それが本当なのか、未だに分かりません。 今回は『DPP4阻害薬使用により自己免疫疾患の発生リスクが上がるのか』を研究した大規模な…

今すぐ使える血ガスの読み方2020

研修医向けに血液ガスの読み方のレクチャーをしました。 もはや専門でなく、血液ガスもそんなに頻繁に採取している訳ではないのですが、 非専門の立場から『ここだけ押さえておくべき』という所だけをまとめたものです。 専門家からの指摘・修正をお待ちして…

リウマチ性多発筋痛症 vs 血清反応陰性の高齢発症関節リウマチ

リウマチ性多発筋痛症(PMR)と血清反応陰性の関節リウマチ(Seronegative RA)はいずれも高齢者の炎症性リウマチ疾患の中で頻度の高い疾患です。 今回はそんな二つの相違点に着目したReviewをご紹介します。 おまけで血清反応陽性と陰性の関節リウマチの違いや…

今すぐ使える輸液の基礎2020

医学生、研修医向けに輸液についてWebレクチャーを行いました。

味覚障害の鑑別疾患

味覚障害の鑑別も色々あります。こういうのは家庭医の先生の方が得意なのではないでしょうか。プライマリケアでかなり見ていそうです。 【嗅覚障害を起こすウイルス】 【嗅覚障害のウイルス以外の鑑別疾患】 【味覚障害の鑑別疾患】 【参考文献】 ●Malaty J,…

嗅覚障害の鑑別診断~ウイルス以外~

嗅覚障害を起こすウイルスについて前回書きましたが、ウイルス以外にもこんなに嗅覚障害を起こす病気があるんですね。 【嗅覚障害を起こすウイルス】 【嗅覚障害の原因】 【参考文献】 ●Malaty J, et al. Am Fam Physician. 2013 Dec 15; 88 (12): 852-9. "S…

嗅覚障害を起こすウイルス

世間ではコロナウイルスが嗅覚障害を起こす事が話題となっておりますが、 ウイルス感染症はもともと嗅覚障害を起こす最も頻繁な原因。 報告にもよりますが、ウイルス感染症の2~4割前後に嗅覚障害が起こります。 嗅覚障害を起こす可能性があるウイルスは200種…

OMAAVという病気を知っていますか?

OMAAVという病気をご存知でしょうか? ANCA関連血管炎が原因で起こる中耳炎のことで、 Otitis media with antineutrophil cytoplasmic antibody assiciated vasculitis の略語になります。 比較的最近出てきた概念で、抗菌薬や鼓膜換気チューブなどといった…

全身性アミロイドーシスに対する腹壁脂肪吸引生検の方法

アミロイドーシスに対する腹壁脂肪吸引生検の感度は消化管生検よりも高いといわれます。加えて安全かつ簡便であるため、一般内科医でも実施する事が可能です。 インターネットをサーフィンしていると、『アミロイドーシス診療支援サービス』というサイトにた…

DICとTMAの鑑別

播種性血管内凝固(DIC)と血栓性微小血管障害(TMA)はしばしば鑑別が困難な場合があります。両者とも血小板減少、出血傾向、臓器不全に関連した微小血管血栓症を呈します。これらは治療法が異なるため、臨床的に鑑別する事が重要です。 日本からの報告でこの両…

リンパ節石灰化の鑑別

時々、CTで見かけるリンパ節の石灰化…鑑別と言えば、結核!!と思っていましたが、他に何があるかなと思い、まとめてみました。 ちなみに脾臓の石灰化に関しては以下をご覧ください。 ※赤文字は頻度が高いものです。 大きく分類すると、 ●肉芽腫疾患(結核、サ…

関節痛・関節炎を起こすウイルス

発症から6週間以内の関節炎の鑑別にウイルス感染症は常につきものです。 この記事では関節炎に加えて、関節痛を起こすウイルスについてまとめました。 関節痛を起こすウイルス アルファウイルス 関節炎を起こすウイルス メカニズム 診断ポイント 注意点 治療…

眼窩先端症候群という疾患を知っていますか?

"急性発症の単眼の視力低下"の原因として"巨細胞性動脈炎"が疑われて紹介された患者さんで、蓋を開けてみると、"眼窩先端症候群"だった方がおられました。 眼窩の構造は非常に複雑であるため、理解がなかなか進まないですが、逆に解剖を理解してしまえば、症…

視神経障害の鑑別

報告されている視交叉までの視神経障害の原因をまとめてみました。 うーん、多い… 急性視力低下の鑑別とアプローチはこちら。 視神経障害の診断 視神経障害の鑑別 視神経障害の診断 なっと言っても交叉点滅対光反射試験が重要だと思います。 まず、対光反射…

急性視力低下~鑑別とアプローチ~

『急性の視力障害』と聞くと、『すぐに眼科!!』と思うかもしれません。しかし、眼科医の先生がすぐに対応できない病院も少なくなく、その場合は救急や一般内科医の先生が対応せざるを得ません。 実は『視力障害』は問診と一般診察である程度鑑別が出来ます…

乳頭浮腫~機序と原因~

乳頭浮腫の発生機序についてあまり理解していなかったので、調べてみました。 解剖がとても大事だとわかりました。 こちらもご覧ください。 正常解剖 視神経鞘と髄液循環 栄養血管 黄斑の栄養血管 乳頭浮腫の機序 乳頭浮腫の原因 まとめ 正常解剖 視神経鞘と…

ばち指~鑑別と機序~

関節痛の患者で、ばち指を認めたら何を疑うか?? ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 答えは肥大性骨関節症ですが、ばち指の鑑別や機序について改めてまとめてみました。 ばち指の所見 ばち指の鑑別 ばち指の機序 1. 異常血管新生 2. 低酸素血症 3. 慢性炎症 診…

仙腸関節炎~診察と鑑別~

若年者の慢性腰痛で鑑別に挙げたい仙腸関節炎の診察と鑑別を以下にまとめます。 《診察》 なお、患者に一番痛い所を指さしてもらったときに以下のように示す場合も仙腸関節炎を疑うそうです(Fortin finger test→名前は覚えなくて良いかも)。 《鑑別》 ※厳密…

ブドウ膜炎の鑑別

ブドウ膜炎の鑑別について非常にわかりやすい文献を見つけました。 ↑ こちらにもまとめたのですが、手っ取り早く鑑別するなら↓の図がお勧めです。 ブドウ膜炎は ①『両側性 or 片側性 vs 前部ブドウ膜炎 or 汎ブドウ膜炎(眼底病変あり)』 ②『肉芽腫性 or 非肉…

炎症性貧血Review NEJM2019

つい最近のNEJMで炎症性貧血についてReviewが出されておりました。真新しい事はないかと思いますが、分子機序が割と細かく、復習に良いかもしれません。まとめてみたので、二次利用などにご活用ください。 【ポイント】 ヘプシジン合成亢進 ・炎症が起こると…