"偽痛風"の非典型的な臨床像
”偽痛風”ことピロリン酸カルシウム結晶沈着症 (calcium pyrophosphate dehydrate deposition disease: CPPD)は身体の色々な部分に沈着します。
偽痛風を疑った時に撮影するX線部位としては、以下の3部位が有名です。
両手関節(特にTFCC領域)
両ひざ関節
恥骨結合
特に手関節や膝関節の急性単関節炎を起こしますが、その他の部位にも沈着し、多関節炎など、非典型な臨床像を呈する事があります。
本日はそんな非典型な臨床像をPubmedで文献を500件ほどReviewし、なるべく臨床写真を閲覧でき、かつ病理組織学的に証明されたものを中心に集めてみました。数字はPMIDです。ご参考になれば幸いです。
Crowned dens 症候群はもはや有名な臨床像ですが、ありとあらゆる部位に結晶が沈着を起こすので、こうして見ると『過去に”Seronegative”だったあの人やこの人が、もしかしたらCPPDだったかも…』と思えてきますね…
特に神経の通り道に結晶が沈着すると、神経障害を起こすことに注意したいですね。
ちなみに、EULARはCPPDの臨床像を以下の4種類に分類しています(PMID=21216817)。
無症候性CPPD (asymptomatic CPPD)
急性結晶性関節炎 (acute CPP crystal arthritis=かつての偽痛風)
CPPDを伴う変形性関節症 (osteoarthritis (OA) with CPPD=かつての偽性OA)
慢性結晶性炎症性関節炎 (chronic CPP crystal inflammatory arthritis=かつての偽性RA)
この中でも、慢性結晶性炎症性関節炎は関節リウマチに似た臨床像を呈し、かつては偽性RAとも呼ばれていたため、"Seronegative RA"だと思っても石灰化をしっかりとX線で評価した方が良いかもしれません。
注意点はX線で写らない石灰化もあるため、エコーも実施した方が良い点です。慣れた技師でないと見逃す可能性もあり、レポートだけでなく、しっかり元画像も見るようにしましょう。