2020-01-01から1年間の記事一覧
リウマチ性多発筋痛症(PMR)のエコー所見と言えば、上腕二頭筋腱の腱鞘滑膜炎や肩関節の肩甲下・三角筋下滑液包炎が有名です。 2012年のEULAR/ACRの分類基準でもエコーの所見を用いた項目が基準に含まれています。 しかし、この上腕二頭筋腱鞘滑膜炎や肩の滑…
たまに患者さんから『関節リウマチはどのくらい治るんですか』と聞かれる事があります。海外からは様々なコホート研究の結果が出されておりますが、日本人には日本のデータを示した方が良いだろうといつも思います。 東京女子医大が運営しているIORRA cohort…
Mondor病ってご存じでしょうか?読み方は”モンドール病”と言い、体表に索状の硬結が出来て痛い稀な疾患です。 この索状構造物は、一般的には良性の血栓性静脈炎で、特に治療せずとも、4~8週間で自然に解消します。 実は筆者は3回これになっていますが、今日…
混合性結合組織病 (MCTD)の診断基準が2019年に改訂されていました。 改訂に関わった当院の医局員の先生からのお知らせで知りました。 2004年から15年ぶりに改訂になります。混合性結合組織病は日本で主に知られている概念ですので、この純国産の診断基準は知…
血液検査で偶然『抗核抗体が陽性』になる事はしばしばありますよね。 専門外来でもこのようなご紹介を受ける事がしばしばあります。 『抗核抗体』は『自己免疫疾の太鼓判』というイメージがあるかと思いますが、 無症状の場合、抗核抗体陽性のみでは、自己免…
『抗核抗体の蛍光抗体法のパターンと対応抗体が覚えられない!!』と言う声をしばしばお聞きします。確かにそうです。 気合を入れれば、覚えられなくはないかと思いますが、正直大変ですよね。 何か良い覚え方がないか考えましたが、そんな小手先の事はせず…
関節リウマチに限らず『朝のこわばり』は炎症性関節炎を示唆する特徴的な所見です。 『夜間にずっと動かないから、炎症を起こしている関節が固まってしまう』と教わって来ましたが、朝のこわばりが何故起こるのか、ちゃんと考えた事がありませんでした。 し…
SLEではしばしば倦怠感が患者さんを苦しめる事があります。疾患の活動性ばかりに目が言っているとついつい患者さんの訴えを軽んじてしまうかもしれません。 治療のガイドラインの進歩も著しいですが、”倦怠感”という少し取っ付きにくい領域についても医療者…
関節リウマチや皮膚筋炎、強皮症などの全身性自己免疫性リウマチ性疾患(SARD)は、しばしば間質性肺疾患(ILD)を起こします。それぞれの疾患でどれくらいILDを起こしやすいかは、各国から様々なコホート研究が発表されていますが、どの疾患がどのくらいILDを起…
また、SLEに関して素晴らしいReviewが出ました。 このReviewが優れているのは、図表、アルゴリズムが多く用いられている点と、引用文献の多くが過去5年以内のものである点です。 それぞれの項目も少ない分量でまとめられており、読みやすいです。 是非、ご堪…
巨細胞性動脈炎(GCA)にとって側頭動脈病変の有無を確認する事は非常に重要です。 1990年のACRの分類基準でも『側頭動脈の異常』は一項目となっております。 一方で側頭動脈病変がない大血管型の巨細胞性動脈炎(LV-GCA)も存在します。 こちらは以前にまとめた…
様々な薬剤が登場してきたおかげで全身性エリテマトーデス(SLE)患者さんの生命予後は著明に改善しました。現在では生命予後の改善から生活の質(QOL)の改善へ目標が移行して来ていると言っても過言ではありません。 しかし、生命予後は改善しているものの、重…
一般内科医のための関節痛を訴える関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、脊椎関節炎、変形性関節症の鑑別のためのアルゴリズムが公開されていたため、以下にお示しします。 いくつか気になるところもありますが、一般的な慢性関節痛を起こすリウマチ膠原病…
NCAの測定方法にはいくつかの方法があり、どの方法を選択すれば良いのか皆さん悩まれるかと思います。また、どのような状況でANCAを測定すべきか悩まれることもあるかもしれません。 ANCA関連血管炎以外でANCAが陽性になる疾患は意外と多いので、むやみに提…
ANCA関連血管炎以外でANCAが陽性になる疾患は以外とたくさんあります。 2006年のLancetにもそれまでのANCAが陽性になる疾患のまとめがありました(Lancet . 2006 Jul 29; 368 (9533): 404-18. PMID=16876669)が、情報が古いという事と、頻度が書かれていない…
巨細胞性動脈炎の鑑別は難しいですよね…特に大血管型の場合は生検も出来ませんので、画像診断が主かと思います。 しばしば原因不明の発熱や高炎症状態で鑑別に上がる巨細胞性動脈炎ですが、その鑑別疾患も多岐に渡ります。
関節リウマチ治療の中心的役割のメトトレキサートについてまとめている論文を和訳しました。メトトレキサート治療に関わる全ての医療者に読んでいただきたい内容です。
認知機能障害は全身性エリテマトーデス(SLE)の神経精神症状の一つです。そのメカニズムには血栓性脳血管虚血、脳に対する自己抗体、補体活性化が挙げられています(PMID=29927108)。 これら自体が血液脳関門に傷害を加える可能性があり、それによって血液内の…
関節リウマチで、手指や手関節の滑膜炎は、臨床医がしばしば気にかけている部位だと思いますが、一方で足病変は外来をしていても、ついつい忘れてしまう事が多いかもしれません。 そもそも臨床医が関節リウマチの活動性を評価するための指標であるCDAI、SDAI…
DPP4阻害薬がRS3PEや関節リウマチなどが発症する、などという症例報告、ケースシリーズは探せばいっぱい出てきます。ただ、それが本当なのか、未だに分かりません。 今回は『DPP4阻害薬使用により自己免疫疾患の発生リスクが上がるのか』を研究した大規模な…
主に脊椎関節炎に使用されるIL-17阻害薬ですが、炎症性腸疾患が悪化させるという報告が散見されます。 その相反する作用を理解するには、IL-17の関節に対する機能と、腸管に対する機能を理解する必要があります。 本日は、IL-17の役割とその阻害薬による炎症…
強皮症は様々な臓器に不可逆的な病変を生じますが、未だに画期的な治療はなく、どうしても対症療法が中心となっています。 臨床医の中でも薬の使い分けについては人それぞれかと思います。 そんな中で2018年、ガイドラインではありませんが、強皮症のエキス…
近年、免疫不全状態にある重症患者の割合はICU入院全体の約3分の1を占めるまで増加しているようです。 殊に昨今では新型コロナウイルス感染症の流行があり、重度呼吸器感染症においてはより鑑別が重要になってきていると思います。 今回は免疫不全患者におけ…
研修医向けに血液ガスの読み方のレクチャーをしました。 もはや専門でなく、血液ガスもそんなに頻繁に採取している訳ではないのですが、 非専門の立場から『ここだけ押さえておくべき』という所だけをまとめたものです。 専門家からの指摘・修正をお待ちして…
前回、DMARDsによる治療開始前の患者でSeronegative RAとSeropositive RAのベースラインでの疾患活動性や超音波での滑膜炎の程度を比較した論文をご紹介しました。 『Seronegative RAの方が疾患活動性が高い』という結果でしたが、同じ患者さんたちを2年間外…
関節リウマチにはリウマチ因子(RF)と抗CCP抗体が陽性の『Seropositive RA』とそれらが陰性の『Seronegative RA』があります。 Seronegative RAは関節リウマチ全体の15%程度を占めるという報告があります(PMID=27094444)が、Seropositive RAと臨床症状が異な…
喫煙は関節リウマチ(RA)発症の環境リスクであるとお伝えしました。 気になるのはその機序です。喫煙が関節リウマチに与える影響を調べた日本の研究がありましたのでご報告致します。 たばこには多数の毒性を持った物質が含まれますが、その中でも主要なもの…
関節リウマチの発症には遺伝因子と環境因子が関わると言われています。 遺伝因子は特に1親等(親、子まで)に関節リウマチ患者がいる場合はリスクが高まりますが、そうは言ってもこれだけで発症するというわけではなく、環境因子と相まって発症する可能性が指…
乾癬は乾癬性関節炎を起こすことがあります。乾癬の皮疹と関節炎が同時に生じることがありますが、皮膚科の先生から『乾癬の患者さんが関節痛を訴えている』という紹介を受けることが多いように思います。 気になるのはどんな乾癬患者が乾癬性関節炎を起こす…
特発性炎症性筋疾患は皮膚筋炎、抗ARS抗体症候群、免疫介在性壊死性筋炎、封入体筋炎、多発性筋炎、オーバーラップ筋炎の6つを含む疾患群です。 50~80%の炎症性筋疾患患者では筋炎特異的自己抗体が陽性となります。 筋生検で得た特徴的な病理所見で例えば、…