関節リウマチの鑑別診断
関節リウマチは早期の診断と早期治療介入により、関節予後が大幅に改善しました。
ACR/EULARは2010年に下記の分類基準を発表しましたが、分類基準ではあるものの、日常診療において早期関節リウマチの診断において、強力な助太刀となりました。
《ACR/EULAR 2010年 RA分類基準》
※6点以上を関節リウマチと分類する
*:MCP, PIP, MTP2-5, 第1IP, 手首を含む
**:肩, 肘, 股関節, 膝, 足首を含む
***:手指・足趾のDIP, 第1CMC, 第1MTPは除外
****:顎関節, 胸鎖関節, 肩鎖関節を含む
低値の陽性:正常上限以上だが、正常上限の3倍以下
高値の陽性:正常上限の3倍より大きい
しかし、この分類基準は1987年のACR分類基準と比較して感度は高くなったものの(47.1%→73.5%)、特異度が低くなってしまった(92.9%→71.4%)ことが問題となりました(2)。つまり、他の疾患でも上記分類基準を満たしてしまうということです。
特に血清反応陰性例や大関節罹患型の症例では診断が難しくなることがしばしば指摘されております。
そこで日本リウマチ学会は日常診療において鑑別診断を補助する目的で、難易度別の鑑別診断リストを発表しました(3)。この表、本当に良く出来ております。初期診療では関節リウマチを疑う患者では、まずはこの表の疾患を考慮することが重要と考えます。是非ご活用下さい。
《関節リウマチの鑑別診断》
鑑別難易度高:頻度もスコア偽陽性になる可能性も比較的高い
鑑別難易度中:頻度は中等または高いが、スコア偽陽性の可能性は比較的低い
鑑別難易度低:頻度もスコア偽陽性になる可能性も低い
【参考文献】
(1) Aletaha D, et al. Ann Rheum Dis. 2010 Sep;69(9):1580-8. 2010 rheumatoid arthritis classification criteria: an American College of Rheumatology/European League Against Rheumatism collaborative initiative.
(2) 金子祐子. SAKURAコホートによる検証. 分子リウマチ治療 2011; 4: 182-185.
(3) 日本リウマチ学会 新分類基準検証委員会 2016年11月14日改訂