リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病疾患に関して日々疑問になったことを中心にまとめたものです。

2019-01-01から1年間の記事一覧

EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)②~病因と組織病理~

さて、続いて好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の病因についてです。 このあたり、やはりANCAが陽性となりやすい顕微鏡的多発血管炎(MPA)や多発血管炎性肉芽腫症(GPA)と異なり、研究が遅れているようです。 現時点でわかっていることについてまとめます。 …

EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)①~分類基準2019~

前回の好酸球性心筋炎に引き続き、その原因疾患となる好酸球性多発血管炎性肉芽腫症についてまとめたいと思います。英語で表記するとEosinophilic granulomatosis with polyangiitis、略してEGPAです。 ANCA関連血管炎の一つですが、GPAやMPAと比較して症例…

好酸球性心筋炎UpToDate

好酸球増多症ではしばしば心筋障害が起こります。好酸球増多症の原因精査目的で入院された方で、心筋肥大を認めた患者がいらしたので、以前に発表したスライドを掘り起こし、復習しました。 **************************************************************…

繰り返す髄膜炎の鑑別

再発性髄膜炎の鑑別としてMollaret髄膜炎(HSV-2による髄膜炎)がありますが、正直、これ以外の髄膜炎の鑑別をあまり知らなかったです。 少し前に、髄膜炎を繰り返している患者がいたので、鑑別をまとめてみました。 【ポイント】 ・再発性髄膜炎は5つのカテゴ…

稀だが忘れてはならない脅威~リウマチ性血管炎~

滑膜炎が主体である関節リウマチに血管炎が生じた場合にリウマチ性血管炎と呼びます。日本では予後の悪さのため、悪性関節リウマチと言われており、難病の指定にもなっております。 最近、入院患者でリウマチ性血管炎が疑われる患者を担当したので、まとめま…

関西に多い!?~パンケーキ症候群~

最近『パンケーキ食べた~い』という芸人が活躍していますが、皆様、パンケーキ症候群をご存じでしょうか。関西に住んでいると特に意識しなければならない疾患の一つです。 【概論】 ・1993年に初めて報告された、パンケーキを食べた後にアナフィラキシーを…

関節リウマチの鑑別診断

関節リウマチは早期の診断と早期治療介入により、関節予後が大幅に改善しました。 ACR/EULARは2010年に下記の分類基準を発表しましたが、分類基準ではあるものの、日常診療において早期関節リウマチの診断において、強力な助太刀となりました。

【永久保存版】強皮症の自己抗体

皮膚筋炎や強皮症などの疾患は自己抗体が診断に有用であることはもちろん、ある程度、病因や臨床経過、障害臓器、予後に関係することが分かっております。 今回は強皮症の自己抗体についてまとめたいと思います。 【ポイント】 ・抗トポイソメラーゼI抗体(抗…

チューインガムテスト~巨細胞性動脈炎の顎跛行の身体所見~

側頭動脈病変を含む巨細胞性動脈炎では顎跛行は頻度は50%未満ですが、特徴的な症状となります。 しかし、問診で顎跛行を尋ねても、本人の自覚は不明なことも少なくなく、身体所見で確認することがなかなか出来ませんでした。 そこで今回は『チューインガムテ…

悩ましいステロイドミオパチーについて

ステロイド治療を行っている患者が、筋力低下を訴えた時、それが原疾患によるものか、ステロイドによるミオパチーなのかいつも悩みます。今回はステロイドミオパチーについてまとめたいと思います。 【イントロダクション(3)】 ・一番最初は1932年にHarvey C…

蕁麻疹を起こすウイルス達

蕁麻疹と言えば、何らかの抗原に対するアレルギーを考えますが、原因不明も多いのが現状です。しかし、医療者は食べ物との関連を疑うことが多く、結果的に患者さんに〇〇アレルギーなどと、レッテルを貼り、過剰な不安を与えてしまうかもしれません。 しかし…

血管内リンパ腫細胞が血管内に留まる理由

分子免疫学を勉強していると臨床で抱いた疑問がしばしば解決することがあります。 今回はこの疑問『なぜIVL細胞が血管内に留まるのか?』に対して分子免疫学的視点から迫ってみようと思います。 リンパ球の分類と成熟部位 まず、リンパ球は T細胞とB細胞に分…

肺胞出血UpToDate

肺胞出血の患者がいるため、復習しています。UpToDateが最新で最もまとまっていたため、訳してみました。 リウマチ膠原病領域では低酸素血症、貧血、新規陰影の場合に常に鑑別に挙がる病態です。 肺胞出血は肺胞上皮細胞、基底膜、肺毛細血管の破綻によって…

どう違う?~SLEの分類基準~

SLEの2大分類基準としてACR1997とSLICC2012があります。今回はこれらの特徴や違い、使い分けについてまとめたいと思います。最後に2019年にACRとEULARから提唱された新しい分類基準についても触れています。いずれの分類基準も臨床でSLEを診断する事を目的と…

SLE EULAR recommendations 2019

SLEのEULAR recommendations 2019が出たので以下にまとめます。ご参考になれば。 お時間がない方は以下の表だけでも見ておきましょう!! 【ポイント】 ・寛解は目指すべきだが, 達成困難である場合は, 低活動性(抗マラリア薬を使用してSLEDAI≤3, またはPSL≤7.…

どれを使う?~SLEの活動性評価~

SLE

SLEの活動性の評価方法は複数あります。そのどれも優劣があります。 今回は様々な活動性評価方法を比較してみます。

意外に頻度が高い~上肢のしびれ~

先日、とある勉強会で発表したスライドをアップ致します。 上肢の痺れ from Tsuneyasu Yoshida

”Vesperの呪い” ~夜間に増悪する腰痛の鑑別~

担当ではありませんでしたが、先日の当直中、肺炎で入院中、夜間に悪化する腰部から両下肢の疼痛を訴える患者さんの診察依頼がありました。腰部脊柱管狭窄症の既往があり、診察では軽度うっ血性心不全の兆候がありました。 調べてみると”Vasperの呪い”という…

手足が痺れる多発神経障害・ポリニューロパチーの鑑別 

病棟でも外来でも手足が痺れる患者さんは少なくありません。 今回は多発神経障害(ポリニューロパチー)の考え方をまとめてみました。 【ポイント】 ・多発神経障害(ポリニューロパチー)は意外と多い ・手袋靴下型の神経障害では多発神経障害を疑う ・症状は神…

LDHが異常に高い時に考えること 

LDHが時々高いことを見かけますが、以下の論文ではLDHが異常高値である入院患者に着目し、その原因疾患をまとめたものです。 LDHが高値となるのは以下のスライドに示す通り、様々な疾患がありますが、 カットオフ値を800IU/Lと設定した際に、鑑別に挙がる疾…

必ず鑑別に挙がる薬剤性肺障害について

薬剤性肺障害についてまとめてみました。 出典は見つけた薬剤性肺障害の診断・治療の手引きでインターネットで短縮版が無料公開されておりますので、是非入手することをお勧め致します。 【定義】 ・薬剤投与中に起きた呼吸器系の障害の中で、薬剤と関連があ…

骨代謝マーカーを使ってみよう!!

今まで骨粗鬆症の評価は骨密度検査のみ実施しており、骨代謝マーカーは測定したことがありませんでした。この度、骨代謝マーカーをオーダーする機会があり、骨免疫を理解するためにも勉強してみました。

CORTAGE試験:65歳以上の血管炎患者へのエンドキサンの用量

血管炎の寛解導入にはしばしばエンドキサン(シクロホスファミド)が用いられますが、高齢患者の血管炎患者ではエンドキサンを標準量(500mg/m2)で投与すると感染症のリスクが上がる心配があります。それを考慮して減量して投与することも多いのですが、今回ご…

薬剤性日光過敏 

問診で『日光過敏』を聴取した際には薬剤の関与を考慮する必要があります。 UpToDateに日光過敏を起こし得る薬剤についての記事があったのでまとめてみました。 【ポイント】 ・日光過敏の頻度が高い薬剤は以下になります。 抗菌薬(ニューキノロン系, テトラ…

AOSD 成人Still病の疫学

成人Still病の日本からの報告をご紹介致します。最近はこのようなリアルワールドデータの方がRCTよりも信憑性があるように感じます。 Asanuma YF. et al. Mod Rheumatol. 2015 May;25(3):393-400. "Nationwide epidemiological survey of 169 patients with …

免疫不全の重症度

免疫不全の状態は疾患によってかなり異なります。一般的なリウマチ・膠原病疾患よりもはるかにCD4が低下したHIV/AIDS患者、移植後患者、化学療法中の悪性腫瘍の患者は免疫不全が重篤であり、これらの患者が発熱などで来院した際には、珍しい感染症や、コモン…

免疫抑制薬の周術期の休薬期間

免疫抑制薬の周術期の休薬期間については外科系の先生からしばしば相談があります。日本のガイドラインでは全ての免疫抑制薬についてあまり明確な期間の記載はありませんが、多くの研究では半減期を考慮し、術前はその1.5~2倍程度の休薬期間を設定しているこ…

抗リウマチ薬、免疫抑制薬の感染症リスク

関節リウマチの治療をしていると必ず遭遇するのが感染症です。免疫学の急速な発展に伴い、様々な機序の免疫抑制薬がと登場しております。 この記事では各免疫抑制薬の感染症のリスクを検討しております。注意点としては関節リウマチ診療で単剤治療がほとんど…

ステロイドの内服量、期間と感染リスク

Dixon WG. Ann Rheum Dis. 2012 Jul;71(7):1128-33. "Immediate and delayed impact of oral glucocorticoid therapy on risk of serious infection in older patients with rheumatoid arthritis: a nested case-control analysis." ステロイドは免疫抑制薬…

筋痙攣 muscle cramp

【ポイント】 ・筋痙攣は発生率が健常成人の50-60% ・神経、筋、神経筋接合部のいずれかで神経興奮が持続することで起こる ・特発性が最多で二次性の原因は多岐にわたるが、一番多いのは脱水と電解質異常 ・また神経疾患や筋・神経筋接合部に影響を与える疾…