リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病疾患に関して日々疑問になったことを中心にまとめたものです。

リウマチ膠原病疾患患者のCOVID-19罹患

 2020年4月1日の時点で、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ、アジア、アフリカ、オセアニアの6つの大陸から、COVID-19と診断されたリウマチ膠原病疾患患者は110人になります。その背景をまとめた報告があったので以下にまとめました。

 

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DMARD=疾患修飾抗リウマチ薬, NSAID=非ステロイド性抗炎症薬, JAK=ヤヌスキナーゼ, BMI = body-mass index
*一人の患者が複数のリウマチ性疾患の診断を受ける可能性あり
  その他(すべてn <5):炎症性ミオパシー、眼窩炎症、その他の炎症性関節炎、リウマチ性多発筋痛症、サルコイドーシス、
              全身性硬化症、骨粗鬆症、乾癬、孤立性肺毛細管炎、痛風、自己炎症性疾患
†csDMARDs:抗マラリア薬、アザチオプリン、シクロホスファミド、シクロスポリン、レフルノミド
         メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、スルファサラジン、タクロリムス
‡bDMARDs:アバタセプト、ベリムマブ、CD20阻害剤、IL-1阻害剤、IL-6阻害剤、IL-12/IL-23阻害剤
        IL-17阻害剤、TNF阻害剤
§その他:抗線維化薬、アプレミラスト、IVIG、サリドマイド/レナリドマイド、その他
慢性閉塞性肺疾患、喘息、間質性肺疾患、その他

 

【コメント】

●男性が多く、若年者が多い傾向です。

●関節リウマチが多いのは、もともとの罹患数が多いためと考えますが、それに次いで全身性エリテマトーデスと並列で、乾癬性関節炎患者のCOVID-19罹患者数が多いのは驚きです。

間質性肺炎を合併しやすい強皮症、皮膚筋炎が以外と少ないです。

●感染前の治療については使用頻度の影響を受けますが、何を使っていても感染するときは感染するという事ですね。グルココルチコイドの用量は気になります。

●主要な症状はやはり発熱と咳嗽が7-8割。呼吸困難感は5割しかないので、注意しなければなりません。

●免疫抑制薬を使用していますが、死亡率は思いのほか低いように思います。国ごとの医療崩壊の程度の差はあるかもしれません。

●高血圧が多いのは頻度の問題かもしれません。次いで肺疾患が多いのは理解できます。糖尿病が以外と少ないですね。

 

【Limitation】

●多くの国で重症患者以外はPCR検査を実施していない可能性があります。

●リウマチ専門医が専門外の仕事で忙殺されているため、きちんと報告が出来ていない可能性があります。

コホート研究なので、例えば、『csDMARDsを使用している患者が多い事=感染しやすい』という解釈にはならないことに注意してください。

 

【参考文献】

Milena A Gianfrancesco, et al. Lancet Rheumatol. 2020 Apr 16 "Rheumatic disease and COVID-19: initial data from the COVID-19 Global Rheumatology Alliance provider registries"