リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病疾患に関して日々疑問になったことを中心にまとめたものです。

患者毎に乾癬性関節炎の生物学的製剤の種類を選択できるか?

乾癬性関節炎は皮膚病変である乾癬に加えて、爪病変、末梢関節炎、付着部炎、指炎、さらには体軸関節炎、ブドウ膜炎まで多彩な臨床像を引き起こします。

 

病態には、2種類のヘルパーT細胞、Th1とTh17が活性化し、IL12, 17, 22とTNF-αを産生する事が関わるとされています(PMID=28273019)。

 

また機械的なストレスや腸内細菌のdysbiosisに伴うIL23の産生も重要です。

 

そのため、それらのサイトカインをブロックする様々な生物学的製剤が登場して臨床応用されています。

 

しかし、同じ薬剤でも患者毎に反応性が異なり、治療抵抗性の方もおられ、どの生物学的製剤をどの患者に使用するべきか、明確には分かっておりません。

 

そこでより精密な治療(Precison medicine)を行うべく、末梢血のヘルパーT細胞の表面抗原の違いによって4つのサブグループに分け、それに応じて治療を変更した場合、EULARやGRAPPAの推奨に基づく標準治療よりも、有効性が高かったという研究が産業医大から出されております(PMID=29618121)。

 

図1

 

同じような研究が関節リウマチや全身性エリテマトーデスでもなされており、今後さらに個別化医療、精密医療が進むか、静かに見守りたいと思います。

 

【参考文献】

Ippei Miyagawa, et al. Curr Rheumatol Rep. 2019 Mar 20; 21 (5): 21. "Optimal Biologic Selection for Treatment of Psoriatic Arthritis: the Approach to Precision Medicine" PMID=30891646