TAFRO症候群の血小板減少はいつまで続く?
TAFRO症候群という病気をご存じでしょうか。
2010年に、高井らによって、発熱(Fever)、胸腹水(Anasarca)、肝脾腫(Organomegaly)を伴い、骨髄に軽度の線維化(Reticlin fibrosis)を認める血小板減少症(Thrombocytopenia)で、リンパ節生検でHyaline vascular型Castleman病様所見を呈した3例が報告され、頭文字を取って、TAFRO症候群と命名されました。
その後、腎機能障害を呈する事も多いため、Renal dysfunctionがRに加わったとかないとか…
2013年に川端先生らによって、TAFRO症候群は多中心性Castleman病の一亜型で新たな疾患概念であると提唱されました。
2015年には日本から診断基準が発表され、2019年にはその改訂がされております。
今回、TAFRO症候群の詳細は省きますが、ご紹介した事は、
『TAFRO症候群は適切な治療をしていても、血小板減少症だけは遷延する!!』
という事です。
Case reportですが、過去の報告のCRPと血小板の推移についてまとめている論文がありました。本文の表を以下に載せます。
上記の表より、小生が勝手に改善傾向や改善するまでの日数を計算したものが以下になります。
●CRPは比較的早期に改善傾向を示し、3週間程度でほとんど正常化するのに対して、
●血小板減少症は改善傾向を示すのに2か月近くかかり、さらに10万以上になるのに、
2か月半かかる事が分かります。
その間、治療した事がある方はご存じかもしれませんが、
●輸血を繰り返したり
●免疫抑制療法を強めてみたり
●他の薬剤性血小板減少症を除外したり
●サイトメガロウイルス感染症を治療してみたり
●トロンボポエチン受容体作動薬を使ってみたり
いろいろ試行錯誤しながらの、2、3か月になります。
かなり我慢比べの疾患になりますので、無理に患者さんを抱え込まずにどうぞ専門施設にご紹介下さい!!
【参考文献】
Matsuhisa T, et al. Nagoya J Med Sci. 2019 Aug; 81 (3): 519-528. "Fatal case of TAFRO syndrome associated with over-immunosuppression: a case report and review of the literature."