リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病徒然日記

リウマチ膠原病疾患に関して日々疑問になったことを中心にまとめたものです。

2020-01-01から1年間の記事一覧

結核性椎体椎間板炎の診断に組織所見は有用か?

結核性の椎体椎間板炎の診断はいつも難しく感じます。 生検検体の培養やPCRなどの微生物学的検査が診断のゴールドスタンダードであると思いますが、結果が判明するまでに時間がかかる上に、陽性率が低いことが問題です。 今回ご紹介するのは、結核性椎体椎間…

SLEの鑑別~パルボウイルス感染症~

SLEの最大の鑑別にパルボウイルス感染症があります。 『SLEを疑ったら、パルボウイルス感染症を考える!!』という格言があるくらいパルボウイルス感染症の症状はSLEに類似します。発熱、関節炎、皮疹などの症状はもちろん、血清学的に、低補体や抗核抗体が…

リンパ節石灰化の鑑別

時々、CTで見かけるリンパ節の石灰化…鑑別と言えば、結核!!と思っていましたが、他に何があるかなと思い、まとめてみました。 ちなみに脾臓の石灰化に関しては以下をご覧ください。 ※赤文字は頻度が高いものです。 大きく分類すると、 ●肉芽腫疾患(結核、サ…

関節痛・関節炎を起こすウイルス

発症から6週間以内の関節炎の鑑別にウイルス感染症は常につきものです。 この記事では関節炎に加えて、関節痛を起こすウイルスについてまとめました。 関節痛を起こすウイルス アルファウイルス 関節炎を起こすウイルス メカニズム 診断ポイント 注意点 治療…

TAFRO症候群 診断基準・重症度分類 2019年

TAFRO症候群の2015年の診断基準が2019年にマイナー改訂され、2020年1月に発表されました。 TAFRO症候群について 診断基準 2019年 疾患概要 必要項目と除外診断 診断のポイント 重症度分類 2019年 コメント TAFRO症候群について ●原因不明の全身性炎症性疾患…

TAFRO症候群の血小板減少はいつまで続く?

TAFRO症候群という病気をご存じでしょうか。 2010年に、高井らによって、発熱(Fever)、胸腹水(Anasarca)、肝脾腫(Organomegaly)を伴い、骨髄に軽度の線維化(Reticlin fibrosis)を認める血小板減少症(Thrombocytopenia)で、リンパ節生検でHyaline vascular型C…

ビタミンD欠乏は自己免疫性疾患を引き起こす

ビタミンD欠乏が低カルシウム血症や骨粗鬆症だけでなく、自己免疫疾患と関係する事は昔から少しずつ知られておりました。 全身性エリテマトーデス(SLE)でもビタミンD欠乏が様々な自己免疫反応を起こすことが言われております。 今回は少し古いですが、SLE患…

RA EULAR recommendation 2019

欧州リウマチ同盟(EULAR)からの関節リウマチ(RA)に関するRecommendationが3年ぶりに改訂されました。 ここでは2016年のRecommendationとの変更点などについてまとめたいと思います。 言葉の定義 包括的原則 変更点 個々の推奨事項 変更点 治療のアルゴリズム…

高齢発症SLE!!!と思う前に~薬剤誘発性ループス~

高齢発症のSLEを見たら、まず薬剤性ループスを疑います。外来に2名疑わしい患者さんがいるため、この疾患について久しぶりに知識をUpdateしました。 UpToDateが最もまとまっており、これに最新の論文を付け加えてまとめました。 歴史 分類 疫学 病因 遺伝的…

関節エコーのDouble Contour Signは痛風に特異的か?

関節エコーで関節リウマチと結晶性関節炎の鑑別が出来る事に加えて、痛風、偽痛風の鑑別が出来る事は有名でした。 図1のように、正常では骨の上に低エコー域の硝子軟骨が見えますが、 痛風では、硝子軟骨の外表面に痛風結晶が沈着するため、硝子軟骨の表面が…

サイトメガロウイルス感染症の危険因子と発症予測因子

移植ほどではありませんが、自己免疫性リウマチ性疾患を治療していて、免疫抑制が強すぎると、必ずやサイトメガロウイルス(CMV)の再活性化の心配が出てきます。 CMVウイルスの再活性化はしばしば血液中の抗原が陽性となる事で判断しますが、陽性となったから…

HCV感染により陽性となる自己抗体たち

C型肝炎患者では、関節リウマチ、血管炎(特にクリオグロブリン血症性血管炎)、Sicca症候群など、多彩な自己免疫性リウマチ性疾患を併存する事は良く知られております。 しかし、自己免疫疾患の症状がなくても、多彩な自己抗体が検出される事も報告されており…

口唇生検はIgG4関連疾患の診断に有用か?

2019年はIgG4関連疾患の新分類基準が発表された記念すべき年でした。この分類基準の特徴は生検(病理所見)がなくてもその他の部分で有意な所見があれば、IgG4関連疾患と診断出来るという包括的な基準でした。 しかし、IgG4関連疾患の診断において病理所見が重…

眼窩先端症候群という疾患を知っていますか?

"急性発症の単眼の視力低下"の原因として"巨細胞性動脈炎"が疑われて紹介された患者さんで、蓋を開けてみると、"眼窩先端症候群"だった方がおられました。 眼窩の構造は非常に複雑であるため、理解がなかなか進まないですが、逆に解剖を理解してしまえば、症…

視神経障害の鑑別

報告されている視交叉までの視神経障害の原因をまとめてみました。 うーん、多い… 急性視力低下の鑑別とアプローチはこちら。 視神経障害の診断 視神経障害の鑑別 視神経障害の診断 なっと言っても交叉点滅対光反射試験が重要だと思います。 まず、対光反射…

急性視力低下~鑑別とアプローチ~

『急性の視力障害』と聞くと、『すぐに眼科!!』と思うかもしれません。しかし、眼科医の先生がすぐに対応できない病院も少なくなく、その場合は救急や一般内科医の先生が対応せざるを得ません。 実は『視力障害』は問診と一般診察である程度鑑別が出来ます…

乳頭浮腫~機序と原因~

乳頭浮腫の発生機序についてあまり理解していなかったので、調べてみました。 解剖がとても大事だとわかりました。 こちらもご覧ください。 正常解剖 視神経鞘と髄液循環 栄養血管 黄斑の栄養血管 乳頭浮腫の機序 乳頭浮腫の原因 まとめ 正常解剖 視神経鞘と…